モンテソッリー式のトイトレ②
トイトレが完了すると、おむつ替えの時間がなくなる上、息子の自立心を育てることができたり、おむつ代の節約にもなったり、といいこと尽くしです。始めるまでは大変ですが、始めない理由が特にないならば、進めちゃいましょう!私のアメリカ人のお友達はとても合理的で、おむつ代の節約のために、子どもが2歳になってすぐにトイトレを始めたらしいです!
さて、前回は"Toilet Awareness"(著者:Sarah Moudry)の第2章までを簡単にまとめ、翻訳しました。モンテソッリー教育やトイトレの専門家ではありませんので、私なりに解釈した内容となりますこと、ご了承ください。
本はこちらから確認してください:
目次はこちら:
今回は、第3章の内容をご紹介します。
3.Signs of Readiness(準備ができているサイン)
子どもの発達段階で学習させる際、モンテソッリーでは下記の4つのステップをとっていきます。トイトレでも同様の方法をとります。
典型的な発達についての理解を促す
環境を整える
子どもをよく観察する
必要に応じて環境を微調整する
1と2を細かく見ていきます。3と4の細かい説明はありませんが、常に意識をしてみてください。
典型的な発達についての理解を促す
知能面:親が赤ちゃんに話すことから始まります。これは生まれた時から始めることができます。例えば、おむつを替えるときに「おしっこが出たね」等、身体に何が起こっているのかを教えてあげます。赤ちゃんは体の名称や機能について知ることができます。
身体面:筋肉や神経の機能が十分に発達したらトイトレを始める準備ができています。歩けるようになると排泄のためのsphincter muscle(活約筋)が使えるようになりますが、子どもが意識して使うためにはトレーニングが必要です。排せつと活約筋が動く感覚が、子どもの中で繋がる必要があります。それはおむつではなく、トレーニング用のパンツをはかせ、「濡れて気持ち悪い」と思うことから始まります。気持ち悪いと感じれば、トイレをしたらパンツは替えるもの、という感覚が身に付き、清潔で乾いた状態でいることが普通だということを学習することができます。
環境を整える(感情面と物理面の両方を考慮する必要があります):
感情面
まずは、親がトイトレについての方向性や意見を持つことが大事です。なぜなら、子どもは親の言動や感情に敏感です。2歳までに親を見て応対や反応を学びます。トイトレ中はポジティブな言葉を使うと子どもは安心してトイレにいくことができます。反対に、ネガティブな言葉を使うと子どもは安心してトイレにいくことができず、トイトレを進めるのが難しくなることがあります。
親がリラックスした状態であれば、子どもはリラックスできます。感情的にならずに「おしっこはトイレにするのよ」と事実を伝えれば良い。過剰な拍手やシールをご褒美にすることは不要です。成功すれば子どもは自然と誇りを感じるものなので、何かをさせるためにご褒美を与える方法はとらなくていいのです。これは子どもの他の発達や学習にも通じることなので、大事なポイントになります。親としては、初めてトイレが成功したことはとても嬉しいことですが、過剰に反応することは不要です。子ども自身がその瞬間どう感じるかを、親の反応によって奪わないようにしましょう。
トイレに失敗したら、それを恥ずかしいことと思わせたり、責めないようにしましょう。感情的にならず「床にしちゃったね」と事実だけを伝えればいいのです。
Matter-of-fact tone(事実を伝える口調)は、身体に何が起こっているのかを伝える上でも大事です。身体から排泄した時に強い匂いがすれば、子どもが恥ずかしいと思う反応(例えば「○○ちゃん、くさ~い!」)ではなく、事実(例えば「おしりからガスが出ているような匂いがするね」)と伝えれば良いのです。
繰り返しになりますが、トイトレ中の言葉の使い方はとても大事です。
物理面
トイレの使用環境は整える必要があります。整理整頓された環境は子どもがルーティンを一貫して行うことに役立ちます。同時に丁寧に作られた空間そのものが、「いつでも子どものトイトレをサポートするよ」という、子どもへのメッセージとなります。細かい部分は微修正していってください。
必要なもの
トイレ:音が鳴ったり光ったりするような装飾はついている必要がなく、簡単に使用でき、落ち着いたものがよい
手洗い場
手洗い場の踏み台:手洗い場へ簡単にアクセスできるよう設置することは、子どもの自立心を養います。また、最初から手を洗うことをトイレのルーティンに入れ込み、習慣化させておくことは大事です。
石鹸:固形でもポンプ式でも何でもOK
ハンドタオル:届く場所に置きましょう
おしりふき・トイレットペーパー:大量に使わないよう、少量をかごなどにいれておきましょう
汚れものを入れる場所(かご等でOK)
新しいパンツ(かご等にいれておく)
上記に加え、あるとお勧めのもの
トイレの下に敷く防水シートやマット:汚れ防止や子ども用トイレが滑らない工夫
アート:トイレにしばらく座るために子どもの見えるところにアートを飾れば、素敵な空間になる上、親が手を加えて環境を丁寧に用意したことが伝わる。
着替え用の椅子:子どもが着替える際のサポートになる
大人用の腰掛け椅子:子どもがトイレをしている間に大人が座って待っていられる場所
汚れ落としクリーナー
床をふくタオル
いかがでしたか?
個人的な感想として、「感情的にならずに事実だけを伝える」や「ご褒美を与えない」は目から鱗でした。また、「環境を整える」については、モンテソッリーで身に付く「自立心」や「自主性」の観点から考えると非常に納得ができました。
「感情的にならずに事実だけを伝える」
無理して感情を殺す必要はないかもしれません。親も嬉しいことは素直に嬉しい、と喜べば良いと思います。あくまで「親が喜ぶからしよう」という子にならないよう、不必要に喜ぶ必要はない、というように個人的には解釈しました。
「ご褒美を与えない」
もちろん、何でもかんでもご褒美を与えるようにすると、将来、常に対価を求める大人になるかもしれない、というのは想像できます。ただ、これくらいの年齢の子を言葉で説得させるのは難しく、また、親自身が(例えば時間がなく)そこまで我慢して継続できない、という状況が多いと想像します。
私はこの本を手に取る前にトイトレを何となく始めたのですが、その時はトイレに座れたらシールをあげる、というご褒美を与えていました。でもトイトレを継続してわかったのは、ご褒美よりも「トイレができた!」という事実のほうが嬉しいようで、一度できるようになるとシールのことなど忘れ、シールをもらうためではなく、トイレをするためにトイレに座るようになりました。今思えば最初からシールは必要なかったのかもしれません。
「整えられた環境」について
すべて完璧に揃っている必要はありませんが、人間は「自分でできると自信がつく」という自然と備わった特性を持っているので、一度成功すると、自信や誇らしい感情が生まれる→自分でしたい→自分でする→成功体験→自信や誇らしい感情が生まれる…という素敵なポジティブループができあがります。
モンテソッリー教育では「自立心」や「自主性」を育てていきますが、それを促すのが「整えられた環境」です。その環境とは、自分の手に届く範囲にものがあること、です。親がパンツやトイレットペーパーやタオルをとっていては、いつまで経っても自立心や自主性は芽生えません。
ただ、繰り返しますが、完璧である必要はないと私は思っています。私もトイレットペーパーはちょっと遠いし準備が間に合わないのでとってあげたりしているのが実情です。「トイレが自分でできる」と言う目標は達成しているので、よしとしています。
ただ、すべて自分でできるようになれば本当に楽になること間違いなしなので、できるだけ環境は整えてあげましょう。
※モンテソッリー教育のトイトレ環境がどう見えるか、は英語で検索すると画像が出てきます。(日本語ではあまり出てきませんでした)"Montessori" "Potty training" "Environment"などのキーワードを組み合わせて検索してみてください。前述した必需品が子どもの目線の高さに、低めに置いてある写真がいくつか出てくると思います。
トイトレの進め方は子どもにより千差万別
マニュアルがあるとしても、子どもはそれぞれ性格が違います。モンテソッリー教育ではキャラクターはお勧めは特にされていませんが、息子はキャラパンツでトイトレへのスイッチが一気に入りました(笑)。今ではトイレをしながら、次はどのパンツに履き替えるか一緒に並べて考えます。
夜はまだオムツをしているので、パンツを並べるのは朝と夜の寝る前です。気分により履き替えなくて良い時も選んで新しいものを履いたりさせています。
寝るときにオムツをすることに関しては、モンテソッリーの保育園の先生も大丈夫、と言っていたのを信じて…。夜まで一気に進めるようにすると、それはそれで親にも子どもにもストレスがかかります。日中だけでも、まずはオムツがとれるように目指すと楽です。
親の感情や言葉について
最後に、親も怒ってしまうこともあるし、「なんでできないの…」とついこぼすこともあれば、「急いで!」とせかしてしまうこともあり、ネガティブな言葉を発してしまうことが多々ありますよね。
でも、繰り返しますが、親だって完璧ではないです。私はネガティブな言葉を言ってしまった時には、少し時間をおいて、息子がリカバーできるようにフォローをいれてあげることを意識しています。そして、自分を責めないように気を付けています。
モンテソッリー教育に限らない、子育てをする上ですごく大事な「言葉」については次回の記事で、第4章を読みながら取り上げていきます。