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雑記 81 詩--暮れて行く街

   暮れて行く街   
        山口佳紀   

12月になると
あてのない
街歩きがしたくなる
落葉を焚く煙
障子を洗う水音
畳表の青い香
つづまやかな生活の
好もしさが快く
疲れた体に沁みて来る

12月になると
顔を見たくなる友がある
約束ばかり先立って
なかなか
会う折がなかったから
河口近い蕎麦屋に入り
この一年を語り合い
酒を酌み交わせば
いつしか暮れて行く
街も心も

(産経新聞 「朝の詩」1994年12月30日選者 新川和江)

#詩 #暮れて行く街 #友人との再会 #語り合う

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