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雑記 50 不思議の国のアリスの庭の塗りかけの赤いバラ

A large rose-tree stood near the entrance of the garden: the roses growing on it were white, but there were three gardeners at it, busily painting them red.(『不思議の国のアリス』女王のクローケー・グラウンド より。Lewis Carroll)
「不思議の国のアリス」では女王陛下の命令で、トランプ服の庭師が白いバラをペンキで赤いバラに塗り替えている。
なぜ「アリス」でバラを赤に塗るのか。15世紀イギリスの”バラ戦争”、白バラをシンボルとするヨーク家と赤いバラをシンボルとするランカスター家との王位継承をめぐる戦いで、ランカスター家が勝利して赤いバラが国花となった、ということが、背景にあるのではないか。

イギリスは、イングランド、ウェ―ルズ、スコットランド、北アイルランドの四つの国から成る連合王国(United Kingdom)で、それぞれの地域は「country(国)」と呼ばれ、独自の議会を持ち、独自の国花を持っている。
それとは別に、連合王国の国花が「バラ」である。

前置きが長くなった。

先日、新宿西口のお気に入りの花屋で素敵なバラを見つけた。何と魅力的なバラ。

ディズニーアニメ映画の「アリス」で、トランプの庭師が大慌てでペンキを塗っている、そのペンキの塗りかけのバラのようだ。、

庭師は女王陛下のお出ましに間に合わせるため、大慌てである。間に合わなければ「その者の首をチョン切ってしまえ!」ということになる。

そして、まず、一輪は塗り終えた。次も急がなければ。

一輪赤いバラを混ぜたのはスタッフの誰かだろう。言いたかったこと、分かった、と、知らない相手と笑って会話した。品種名を見なかったことは私の手落ちだったが、赤の縁取りのあるバラを勝手に「テューダー・ローズ」と呼ぶことにした。

秋になり、我が家の庭にも四季咲きのバラが咲いた。

こちらは薄いクリーム色。白バラと言ってもいいと思うが「チャイコフスキー」という品種だ。毎年、春と秋、必ず、忘れることなく花をつける。亡き友人が残していったバラ。「チャイコフスキー」の話は、またの機会に。

後日、「テューダー・ローズ」はもう売れてなかった。その代わり、その場所に、その後ここまで塗り終えました、とでも言いたげな赤いバラが差し替えられていた。上から見ると赤いが、横から見ると塗り残しがある。

花屋に行って、あれこれ物語の世界に浸って時間をつぶすのも楽しい。

10月2日は、トランプ大統領がコロナで陽性になったというニュースが世界を駆け巡った。1日もはやく回復されますように。神の御加護が大統領にありますように。

アメリカ合衆国の国花も「バラ」。

△10月3日のバラ。完璧。

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