雑記 1127 和波79 佐治89

画像1 本日は、上野の東京文化会館に和波孝禧のクリスマス•バッハシリーズ、コンサートを聴きに行った。和波氏は生まれながらにして全盲のヴァイオリニストで、今79歳。来年4月には80歳になられる。祖父は山本五十六と同期の和波豊一と言う。そのバッハに宇宙を観る、とコンサートの進行のお相手をなさるのは物理学者の佐治晴夫先生。
画像2 プログラムは、無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番他。これらの曲は、ボイジャーに搭載された地球の記録のディスクに、バッハの前奏曲と共に入れられたものである。NASAがボイジャーを打ち上げる時、ディスクに入れるデータの中に、バッハの音楽を入れましょう、と提案なさったのが、佐治晴夫先生だった。
画像3 今日のコンサートは演奏と対談が交互で、進められ、そのお相手をするのが、佐治晴夫先生だった。佐治先生は今89歳、来年1月には90歳になられる。どちらの先生も、歳を感じさせない溌剌としたお姿で、この年齢ならこのくらいの姿という私達の凡その見立てをきっぱり裏切る有りようだった。そして、軽いジョークが度々出て、客席は沸いた。和波氏は、演奏後の拍手の大きさや長さで、観客の感動の度合いを知るのだそうである。だから「今一度このかたに盛大な拍手を」という進行は断っている、今日は是非、拍手は大きく長く願いたいとおっしゃる。
画像4 宇宙と音楽の話は面白く、遥か昔から白鳥の骨で作ったフルートがあったり、人は、音楽と無縁であったことは太古の昔から一度もない。太陽を1メートルのバランスボールとするなら、地球は100メートル先のパチンコ玉。そして宇宙空間を飛んでいるボイジャーは、今、上野の文化会館を基点にすると埼玉県の大宮くらいの場所。ボイジャーは暗い宇宙空間を飛び続け、後48億年は飛び続けられるが、その時地球はもうない。お二人のお話には、小澤征爾さんをはじめ沢山の亡くなられた方々の話が混じり、それもやむない人間の定め、と寂しさも漂う。
画像5 ご家族やご友人が、ひとり、またひとり、とこの世を去られ、その寂しさはしみじみと感じるが、自分もいずれは行かねばならない。ならば、今をより大切に、と語られるお二人の言葉には人生の大先輩の輝きがあった。

いいなと思ったら応援しよう!