大学3年生は研究室をどう選べばよい?
理系学生の多くは3年生(か3年生の終わりに)研究室配属がある。どの研究室にするべきか迷うと思う。様々経験してきた大学教員として少し考えをまとめてみました。
1) そもそも高校時点で選べたら理想
大学生の研究室選びは,実は高校生で大学および学部学科を選択することが最も影響が大きい。特定の学科に入学したならば,ほとんどの場合その学科の教員8名~12名程度の運営する研究室のどれかから選択するしかないからである。 高校生の際に,どの研究室に入りたいと選ぶのは難しいかもしれないが,逆に学びたいと思える研究室が1つもない学科に入ることはあまりお勧めしない。高校生が入りたい研究室を考える際に注意してほしいことは先生の年齢と役職である。
まず年齢ですが,自分が大学4年生になる際に,その先生が定年退職していては入れない。高校時点で,憧れの先生が60歳を迎えていたら要注意である。なお定年退職の年齢は大学によってことなる。
次に,役職であるが興味をもった研究室で色々研究されている先生が任期付き教員の場合がある。任期は4年や5年で切れるので,基本的に任期付き教員の研究内容に憧れて入学先を決めるのはリスクが高い。違う大学にその先生が移動する確率が高いからである。この2点をよく注意しながら,選べる余裕があれば,是非研究室選択も視野にいれて大学入試先を選ぶとよい。
2)大学3年生がどう研究室と選ぶとよいか?
大学3年生が,何を基準に研究室を選択するのかについては人により適した選択が変わります.そのため,万人にアドバイスは難しいです.対象が変われば,アドバイスもかわります.全般のアドバイスとしては,
・キャリアは人それぞれ,友人と一緒にするなど,流されない.
・研究内容だけでなく,指導教員や研究室のルールとの相性も考える
・長いスパンで考える(大学院にいくなら3.5年の付き合い).
3)キャリアは人それぞれ,友人と一緒にするなど流されない.
研究室を,友人と楽しく過ごすことを目的に,志望する人で選ぼうとする人がいますが,あまりおすすめしません。もちろんともに切磋琢磨するメンバーは重要な要素ですが,そればかりで考えるべきものでもないとおもいます。なんとなく,友人と同じ研究室を選んで,自分に合わなかった場合,もどかしいでしょう。
4)研究内容だけでなく,指導教員や研究室ルールとの相性も
もちろん,研究内容に興味があるかどうかは重要な要素です。しかし学部3年生までの学びは基礎が多く,研究という応用も必要になる分野になります。同じようで違います。そのため,3年生時点で,必ずこの研究内容が良い、それに類似する仕事にしたい,と決めることはかなり難しいでしょう。そのため,どちらかというと,どうしても嫌な理由がある研究内容以外は,まずは検討のテーブルに上げてよいと思います。
ここで,研究内容以外に検討して欲しいのが,指導教員や研究室のルールとの相性です。 まずは,大学(大学院)は何かを研究して,課題解決能力(研究力)を身に着けて,卒業(修了)することが目標です。学部4年生の1年間で,そのあと10年とかの近い未来通用するような専門性はほぼ獲得することはできないとおもいます。まずは,未知の課題を研究する取り組み方を学ぶことが最優先です。そして何よりも,卒業修了することがまず大事です。そうなると,長いと3年間指導をあおぐ先生との相性も考慮にいれる必要があります。教員も人間で,完璧ではないです。人と人の相性もあると思うので,そもそも苦手な先生の研究室で研究に集中できそうか考えてみてください。新しい何かを自分で探求する経験を完遂できる環境かが重要と考えます。そのために、まずは検討している研究室の先生とお話する機会を設けることが重要と考えます。事前にアポをとり、研究室について,将来について,考えを相談してみるとよいでしょう。そのやり取りで、ある程度自分にあうあわないが分かるでしょう。
5)研究室のルールとの相性
先生との相性以外にも,研究室のルールとの相性があると思います。研究室によっては、 1つの実験に時間がかかるものや,人が物理的に集まって作業することが必要,安全実験環境の管理のためなどなどから,日中の10時から18時は必ず大学にいるようになどのコアタイムを設けている場合があります。合理的な理由がある場合は、このルールのもと研究をすることになります。研究は任意の活動ではなく単位なので、コアタイム≒授業出席と捉える先生や大学があれば,昼間他の活動も両立したい学生にとっては難しい判断となります。また,研究の実験などが,大学の本キャンパスではない別の場所で行う必要がある場合があります。家と全く反対の場所で,移動にとてつもなく時間がかかる場合は,現実的に様々な支障がでると思います。これらの各研究室事のルールは事前に考慮にいれておくとよいでしょう。
6)さいごに
研究室の第一希望に必ず入れるとは限りません。第4希望かもしれません。そして,4番希望の研究室に配属されて,実際に研究した内容は配属前と同じく興味が出なかったとします。でも,先生や先輩などとは仲良く楽しく勉強でき,研究のやり方は学べるかもしれません。やってみたら,課題をとく行為は楽しめたかもしれません。どのような状況でも,学ぶことをやめなければ,必ず得られるものはあると思います。ぜひ腐らず頑張ってほしいです。