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バウリンガルならぬ、自閉症スペクトリンガルが欲しかった


家族は言葉の通じない宇宙人

昔、犬の気持ちを通訳するという「バウリンガル」なる商品がありましたが、我が家の自閉症スペクトラムのふたりは、犬以上に理解不能な人達でした。

会話の通じない彼らが同じ地球の人間とは思えなかったのは、言語を通り越して、多くの人が持って生まれるはずの基本セットが備わっていない感じだったからです。その頃、世間でもよく例えられていた「宇宙人」は、まさにぴったりな言葉でした。

宇宙人と思えるほど、理解し合うことが難しいので、我が家では建設的、平和的な会話ができないのでした。
話しかければ火の粉が飛んでくる。そんな生活をしていると、疲れるだけではなく神経もすり減り、体調も悪くなって、遂には命の危険に晒されることになる。

なので、発達障害を知ったばかりの頃は、彼らの分かりにくい気持ちを通訳してくれる自閉症スペクトラム用の通訳機「自閉症スペクトリンガル」でもあればいいのに、とよく思っていました。

うちの場合、宇宙人は宇宙人でもプライドが高くて威張るタイプ、そう偉そうな宇宙人でした。

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