話しをすると酷い目にあう
常に冷静になる
これは私が長い間、ASDのモトオやムスメと話しをしてきて、抱いた感想です。
特に発達障害のことをよく知らない頃は、話をすると間違いなく酷い目にあってきました。家族に対する思いやりや感謝がない、平気で酷いことを言ってくる彼らと感情抜きで話せなかったのです。
その時の労力と時間と精神的ダメージを考えると本当に無駄なことをしてきてしまったなあと思います。
なので、今悩んでいる方に伝えたいのは、発達障害の人との話し方を知らずに彼らと話してはいけないということ。
我が家タイプのASD人は、人を怒らせる天才ですから、
ぜーったいに感情的になってはいけないのです!
絶対にです!
有名な発達障害カウンセラー吉濱ツトムも言っている
話し合おうすると酷い目にあうなんて普通の専門家は絶対に言いませんが、吉濱ツトムさんという方は、断言していて気持ちがいいくらいでした。そこから抜け出すには距離を置くしかないとも言っていて、至ってまともなお答えです。
吉濱ツトムさんは、ご自身もアスペルガーを名乗る有名な発達障害カウンセラーで、昔テレビで凄腕訪問カウンセラーとして紹介されていたのをたまたま見たことがあり、沢山ある著書の中から9冊読んで、手元に3冊持っているくらい彼の本は読み漁っています。
今は、動画配信もされていて、「カサンドラ妻とアスペルガー夫」という動画は、首がもげそうなくらい頷けます。ちょっと前まで情報入手は本からしかありませんでしたが、今は本当に便利です。
モトオとムスメの対応に困り果てていた当時、うちにも来て貰いたいと思ったくらいでしたが、対象は子供に限っていて予約は何年も先まで埋まっていて、かなりお高いとテレビで言っていたと思います。けれど、その手法は目から鱗でした。当事者ならではで、当時の私には新鋭の救世主に見えたものです。
今思い返しても、当時全く頼りにならない医者やカウンセラーに時間を費やしていましたから。
彼の動画は青い鳥が出てきたり、物凄い早口だったりと、かなり癖がありますが、内容はしっかりしているので、一見の価値ありです。
動画の内容はどれも我が身に当てはまるものばかりで
「話しをすると酷い目にあう」
「妻がどんなに譲歩しようと、優しく言おうと、重度のアスペ人夫は妻の要望を聞かない」などは、もう経験してますが、その通りです。
こうなる背景には特性がいろいろ絡んでいますが、その中でもメタ認知、モトオが自分のことをあまりにも理解できていないことで、酷い目にあったエピソードをご紹介いたします。
「オレのことをずっと変わってて、変だと思ってたんだ!?」
責めるようにモトオがこう言ってきた時には、ズッコケそうになりました。
彼が変わってて変なのは、周知の事実だと思っていたからです。
「それって、おかしいんじゃない?」「それ変じゃない?」と軽く指摘することは、日常茶飯事で、『今更何言ってるの?』だったのです。
しかも、彼も自分がASDと診断された時
「自分でもなんかずっとおかしいと思ってた」って言っていたにも関わらずです。
驚かされるのは、いつもですが、驚きました。
なので、私が思わず「え、違うの?」と返すと、今度は顔を真っ赤にして
「オレのことをそんな風に思ってる人とは、話をしたくないね!」
と激昂してきたのです。
話の筋をすり替える
人は、この激昂してきたことに気を取られてしまうのですが、ここで大切なのは、これは彼の話だということなのです。
ですが、モトオは、そう思う私が悪者の話にすり替えて話しているのです。
彼らがよくやるパターンなので、分かってくると感情的にならなくて済む事だと気づけるのですが、慣れないとあっという間にこのムードに巻き込まれていくので気をつけないといけません。
私は、ムスメとも似たような不思議な会話(話の内容が言葉巧みに逸らされていく会話)で毎日鍛えられていたので、この頃は冷静でいられました。
『昔はこういうことを言われて、どんどん感情を逆撫でされていたんだなあ』とか、『めちゃくちゃな発言を理解しようと頑張って、私は擦り減っていったんだなぁ』と過去の自分を振り返ることが出来るくらいでした。
なので、ここでも静かに聞いてみたのです。
「あなたはどう思ってるの? 自分をそうだと思ってないの?」
すると、モトオは怒り心頭という顔で
「ひどっ!?」と言って、部屋から出ていってしまいました。
一方、この頃のムスメは、私が静かに優しいトーンで気持ちを聞いていくと、時間はかかるものの少しづつ話が通じるようになってきていたので、モトオのダメさが余計に目立ってきていました。
この人とは、これ以上話をしても無駄だと、やっと思うことが出来るようになり始めたのでした。今はどんだけ優しかったんだ私って思います。
「変わってて変」はいけないの?
ところで「変わってて変」と言われてショックを受けていたモトオでしたが、私は変わってて変がダメだなんて思ってことがありませんでした。
それが、そもそも間違いなのかもしれませんが。
まあ、だからモトオとも結婚してしまった訳ですが。
勿論、結婚理由がその変なところというわけではなく、それを超えるくらい温厚で優しかったのですから仕方ありません。ただ私が見せられていた人物は外面で、実在しない人物でしたから、これも仕方ないよねと思うようにしています。
この人を選んだ自己責任みたいなもので自分を長く責めてきましたが、外面で騙す方が悪いんです。
モトオの不思議
彼はもともと、不器用で世間ズレしているのに仕事ができるという、なんとも不思議な人でした。大人しくてシャイなのに優秀な営業マンだったし、ITオタクで理系にしか見えない思えないのに、文系だと豪語し、けれど、そう言う割には本を読んでいるところは見たことがないという謎だらけの人でした。
関係あるかは分かりませんが、彼は顔の彫りが深くて見た目は欧米系ハーフなのに、両親はめちゃめちゃアジア人で、全然似ていないのも不思議でした。勿論、家系に外国人はいません。
私とつきあうまで誰ともつきあったことがなかったというのも不思議だったし、営業なのにバジェット(予算とか経費のこと・同じ外資系の会社に勤めていたので全て英語で周知されてるはずなのに話が通じなくて不思議だった)が理解できておらず、家計の管理ができないなどなど、とにかく変わってるところ、不思議なところを上げたら切りがなかったのです。
不思議な人が皆そうとは言いませんが、不思議なところを言葉にしてよーく話し合った方がいいし、結婚となれば特に見極めには気をつけた方がいいことだけは間違いありません。
彼のドジなところも明るく笑い飛ばしてあげていた私でしたが、彼も一緒に笑っていたので、同じユーモアのセンスを持っているのだと思っていましたが、彼は私に合わせて笑っていただけ。結婚後、笑顔はどんどん消えていきました。
特性のある人は確かにドジやミスが多いのですが、常識に囚われないユニークなところもあるはずなのに、ありのままの自分を認めようとしない、自分のことがまるで分かっていない彼は、人と一緒に暮らすこと自体無理だったのだと思います。
『自己理解が出来ていないと、人は間違った行動を取る』と何かで読んだことがありますが、自分を含め『認知のズレ』が悲劇の始まりだったということです。
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