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平成レトロに負けない! 昭和モダン体最前線

平成レトロが蔓延るこのご時世、それはまるで令和砂漠。皆さん疲れていませんか? 心のオアシスが欲しくないですか? 来年は昭和100年のメモリアルイヤーですよ? ということで、そんなあなたに昭和モダン体を紹介します。

はじめに

昭和モダン体は書体デザイナーの稲田茂が開発。1999年に発売され、漫画『さよなら絶望先生』(2005-2012)に使用されていたフォントとしてちょっとした人気だったことが当時の販売元のブログからは伺えます。

『昭和モダン体』が「絶望書体」と呼ばれ人気になっているというわけでチラシを作って展開を開始したところ予想外に書店の受けがよく受注が伸びているということで販促POPのほかにも急遽帯を作って展開を広げることになりました。

「絶望書体」展開開始(2008年10月15日)

2024年現在、非商用版しか販売されていません。(商用利用するにはかつて売られていたCD-ROM付き書籍版を中古で買うしかない…?🤔)

2002年出版のCD-ROM付き書籍

『絶望先生』の連載終了から12年、そしてフォントの販売も限定的な今、昭和モダン体はどうなっているのか? ここ数年の使用事例をいくつか紹介してみます。

新宿駅西口付近にて

画像左は、2022年にオープンした新宿駅西口にある飲食店の看板。「炭火串焼き 虜」の部分が昭和モダン体です。レトロ感(安心感)を演出するためか、飲食店の看板やメニューによく使われているのを見ます。

画像右は新宿駅西口広場イベントコーナーで今年目撃した刑務所フェアの看板。昭和モダン体の特徴的なエレメントを活かした「獄」のインパクトのある使い方が良いです。
「創業明治弐年」ということでレトロ感の演出として…いや、昭和じゃなくて明治。

本の表紙

上で紹介した「獄」の例のように、どでかく昭和モダン体で「住」の字をドーンと配置したのがこちらの『住吉公園と住吉さん』(2023)の表紙。住吉公園は1873(明治6年)年に開設された大阪でもっとも古い公園のようで…いや、だから、昭和じゃなくて明治。

2023年kindle出版の旅行記コミックエッセイシリーズ。タイトルに昭和モダン体を使い異国情緒を演出していて、こういう使い方もあるのかと勉強になります。(シリーズ6〜8巻は別の書体が使われています)

テレビ番組のフリップ

テレビ番組の内容を紹介するツイート(※「ポスト」の昭和的な表現が「ツイート」です)。パチンコと競馬場がなぜかひとまとめにされてることなんてどうでもよく「女性が初デートで行きたくない場所ランキング」という見出しが謎に昭和モダン体。なにゆえ?

上映イベントの告知

今年の夏に大阪であった無声映画の上映イベントの告知画像。「ロイドの要心無用」というタイトルに昭和モダン体が使われています。こちらの映画は1923年制作ということで、昭和じゃなくて大正ですよ?

おまけ:自由が丘にて

平成以降のいつ作られた看板かわからないのですが、自由が丘で昭和モダン体が使われた比較的新しそうな看板を複数見かけたので紹介します。自由が丘の街にはガチ昭和な店と看板が多数残っていて、その風景に接ぎ木されるかのように昭和モダン体が用いられてる印象でした。

結論

昭和モダン体は令和の今もどっこい生きてる。

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