産後の無理は一生祟る

産後の体は全治2ヶ月の交通事故と同じような状態、という話を書きました。
脅すようなタイトルが続きますが、
それだけ大事なことなのです!
ということをご理解いただきたく…
今回は、
産後の養生が足りないと、追々どういう影響が出るのか
という話です。

「一生」と言われますが、
分かりやすく出るであろうタイミングは「更年期」です。
なので、40代終わりがけから50代前半にかけて。
中医学では、女性は7の倍数で体が変化すると言われます。
それに照らし合わせれば、49からということになりますが、
最近は更年期障害の出る年齢が、若くなっていると言われます。
なので、四捨五入して50になる45歳辺りから、更年期障害に悩まされ始める方もいらっしゃいます。(もっと早い方もあるみたいです)

更年期というのは、女性ホルモンの分泌が減っていく期間の名前です。
なので、これは誰にでも訪れます。
問題は、女性ホルモンの減少によって、ひどい体調不良が起きることです。これを「更年期障害」と呼んでいます。

更年期障害の中には、
冷えやむくみ、気分の落ち込みなどの「陰」っぽいものと
のぼせや異常な汗、イライラなどの「陽」っぽいものがあります。
女性ホルモンが減るという一言で見る科学医療では、この違いに対応するのが少し難しいのですが、中医学では、この違いは「元々持っている陰のエネルギーと陽のエネルギーのうちどちらが大きく減ったか」という見方をします。
大本にあるのは、『人間の体は「陰」と「陽」のどちらのエネルギーも持っていて(両親からもらって生まれてきます)、バランスが取れていると健康』という考え方です。

そして、この二つのエネルギーのうち、「腎」という場所に蓄えてあるものがあるのですが、これは年をとると減っていきます。

少し難しい話になりましたが、
人体のバランスのうち重要なものに「腎陰」と「腎陽」というモノのバランスがある。
年齢とともに両方とも減り、それにより更年期障害の症状が起きる。
どちらがよりたくさん減ったかで症状の種類が違う。
ということです。

そして、年齢に関係なく、「腎陰」と「腎陽」は妊娠・出産で大きく減る、ということも分かっています。
つまり、産んだ後は「腎陰」「腎陽」が大きく減っていて、これを補わないと、早く更年期障害が起きたりします。また、減り方によって、ひどく症状が起きることがあります。
だから、ちゃんと腎陰と腎陽を補いましょう、それが産後の肥立の養生ということなのです。

では、腎陰や腎陽を補うにはどうすればいいのか。
まず、よく休むことです。普通に生活しているだけで減っていきますので、ゆったりと過ごすこと。そして、睡眠をしっかりとること。
夜間授乳があるので、なかなか睡眠をしっかりとまとめてとるのは難しいです。だからこそ、手伝ってくれる方の協力を上手に使って、昼間でも寝られるチャンスがあれば積極的に寝ましょう。赤ちゃんを誰かが見ていてくれる時に、家事なんてしてる場合ではありません。

そして、食べ物でも補えます。
例えば
腎陰:黒ごま、黒キクラゲ、くこの実(ゴジベリー)、くわの実(マルベリー)など
腎陽:羊肉、えび、クルミ、栗など(※調べるとシナモンが出てくることがありますが、妊婦さん禁忌ですので、妊娠中から養生しておこうとする場合は注意してください)
それから、腎気を増やすのもいいので、山芋、蓮の実もおすすめです。

もう一つ、深い呼吸をすることも大事です。
呼吸が浅いと、腎に蓄えられるエネルギー数値が減っていきます。燃料タンク自体が小さくなっていくイメージです。
細かいやり方はありますが、まずは、丹田に意識を向けて、吐く息を長くゆっくりにするだけでも違ってきます。
そして、お腹ではなく、きちんと胸と背中いっぱいに吸い込めるように。

20代、30代前半で出産した場合、若い体力と気力で、産後の大変な時期を乗り切れてしまいます。本当はとてもしんどいのに、自分でも無意識にそれに気づかないようにして、なんとか頑張れてしまう。
そのツケが、40代後半に回ってくるわけです。
産後にしんどい思いをし、10年20年した頃にそのせいでまたしんどい思いをする。
そんなの割に合わなさすぎませんか。
さらに、更年期障害がきつく起きるような方は、骨の状態も悪いことが多いです。(女性ホルモンと骨粗鬆症の関係で)骨の状態が悪いと、腰が曲がりやすく、中には背骨が圧迫骨折を起こす場合もあります。
歩くのもしんどくなりやすいわけで、それが60代などで起きたとしたら。その後数十年、なかなか大変な生活なのが想像できると思います。

更年期、そして高齢期にも元気で楽しく生きるために、
産後の肥立を甘く見ないで、しっかり養生してください。
ご家族や親族の協力を求めること。公的な支援も使えるだけ使うこと。
あなたが元気で笑顔でいることは、子どもさんの幸せに直結しますからね。

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