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うつ病の薬は効くのか
睡眠薬と一緒で、脳みそに作用する薬。だから廃人になるとか、頭が働かなくなるとか、そんなことを言う人がいます。どんな薬にも副作用は存在していて、うつ病の薬にも確かに副作用はありますが、廃人になるとか、頭が働かなくなるという副作用はないです。結果的に同じような状態になる人は実際にいますが。
でもそれは、薬の使い方を間違ってしまった時。
科学で生まれたものは、何でも使い方次第です。街をつくる工事が楽になると思って発明開発したダイナマイトは、結局戦争の爆弾の素になってしまって、それを悔いた発明者が作ったのがノーベル賞というのは有名な話。と言いつつ、これは科学の話だけではなく、この世界にあるものは全て、それ自体の存在だけでは良いも悪いもない、というのは陰陽論にも通じるところでもあります。
結局、薬自体は悪者ではなく、使う人の使い方なんです。(たまにはほんとにやばい薬もありますが)で、うつ病の薬を「使う人」というのは誰なのか。実際に飲む人は患者さんですが、選ぶのはお医者さんです。という事は、お医者さんが使い方を誤るとまずい。なんせ、うつ病の患者さんは、それが正しい使い方かどうかの判断は出来ませんから。
こう書くと、患者さんが無知だからと捉えられるかもしれません。ほとんどの人がうつの薬のことは無知ですね。でも、違うんです。もし、ある程度知識があったとしても、うつ病の時は記憶の総合力、論理展開力、判断力、全てが落ちる。だから、自分で選べるようになるのは、いくつかきちんと使ってみて、どの薬がどういう時の自分に合っているかが分かって来て、状態も軽い時期です。必死に治そうとしている時は、まだ無理です。正常な判断が出来ていると思っているけど、出来ていない事の方が多い。私もそうでした。
うつ病の薬で、現状第一選択になるであろうものは、抗うつ剤と呼ばれるジャンルの薬で、「SNRI」「SSRI」と略される物たちだと思います。(と書いていたら、去年2020年に少し新しいタイプが出たみたいです。でもまだ第一選択ではないはず)
これらは、セロトニンやノルアドレナリン(これらの頭文字がSとN)の脳内での量の調整をしてくれる薬です。SNの方はこの2つを両方、SS(Sを選択的にの意味)はセロトニンのみ調整することになっています。受容体(recepter R)を邪魔する(inhibit I)ので、一見セロトニンやノルアドレナリンが働かなくなりそうな雰囲気ですが、一旦神経細胞から発射されたそれらを回収するための受容体を邪魔するので、結果的にたくさん働けるようになります。
セロトニンは、「幸せ~。いきるのたのし~」という神経伝達物質。ノルアドレナリンは「やるぞ!できるぞ!」という感じのホルモンの素。
この2つがきっちり働いてくれないと、うつ病の「生きたくない。でも死ぬと人に迷惑がかかる。死んでまで迷惑をかけるなんて、ダメすぎる。生きてる価値ない。でも迷惑が(の無限ループ)」が生じます。というか、その前に「私はなんてダメなんだ」「どうしてうまくできないの」「やる気ってなんだっけ」「ここから動きたくない」「何もしたくない」「ごはんが美味しくない」という状態が起きます。
だから、薬でセロトニンやノルアドレナリンを見かけ上増やして、やる気、生きる気力を上げましょうというのが治療の第一歩です。
でも、これって脳みそをだましてるだけだよね。
と気付いた方、その通りです。だから、薬を使い始めたら一生……という話がまことしやかに流れてしまうのです。あくまでも対症療法ですからね。科学の薬はほぼ全て対症療法なのだから、それほど驚く話ではありません。
じゃあ、どういう使い方がいいのか。
確かなところは分かっていないのが事実だとは思います。もし科学的に、学術的に分かっていたら、こんなに患者さん増えないだろうし、ちゃんと寛解して維持できて社会復帰できる率がもっと高いはず。でも現実はそうじゃない。私はラッキーでした。ほんとに。だから、少しでも同じようなルートで社会という道に戻って来られる人がいたらいいなと参考までに書いております。
でも一つ、これだけは確実に言えるのは、薬は使わない方がいいと分かった上で使い始めることです。
薬は意味がないのではなく。
薬は効く。だからこそ。
ちょっと長くなってきたので、続きはまた。
読んでくださってる人の中には、切羽詰まってる人もいるかもしれないので、一言だけ。
最初は薬で、最終的には自分の脳自身で、「だまし」続けるトレーニングをするんです。その為の最初の一歩は、薬に頼るのがベターですよという話。
何回かに分けて書いていきます。タイトルも都度違うので分かりにくいかもしれません。どれがそのトレーニングなの?という問いへの答えは、多分、全部の記事がそうです。薬膳の話もそうなので、これまでのものも参考にしてみてください。
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