多様性は役に立つ?【創造力を高める多様性】
多様性が大切なのはなぜでしょうか。
多様性・ダイバーシティという言葉が、当然のように受け入れられるようになった現代では、男女平等、LGBTQ、人種といった様々な違いを社会として受け入れることが求められています。
一方、まだまだ多様性という考え方が、社会的なルールとしても、心理的にも完全に受け入れられているとは言い難いです。
では、どうすれば多様性がもっと世の中に受け入れられるようになるでしょうか。
誰もが平等に差別なく生きられるような社会
多様性が目指す理念は素晴らしいものですが、人間である以上、自分と違う考え方を受け入れにくい気持ちも理解できます。
しかし、多様性は道徳的なものだけでなく、あなたにもメリットがあるものならどうでしょうか。
道徳的な観点ではなく、「役に立つ」といった観点から多様性を受け入れる。
今日はそんな、科学的に見た多様性が持つメリットについてお伝えします。
1 イノベーションを生み出す多様性
多様な考えを持つメリット
創造力のある人、イノベーティブな人って憧れますよね。
実は、多様性を受け入れることは、あなたに創造力を与えるかもしれません。
イノベーションってどのように生まれると思いますか。
奇抜なアイデアや、考えもしなかったアイデアを生み出す人を見ると、「創造力は才能だ」と誰しも考えてしまいます。
しかし、創造的なアイデアは何もないところから生まれるわけではありません。
世の中にある多くの創造的なアイデアは、既存の知識の新たな組み合わせから生まれるのです。
Appleの創業者スティーブ・ジョブズといえば、天才的な創造力を持った人物です。
そのジョブズ氏は「創造力とは、いろいろなものをつなぐ力だ。一見すると関係ないように見えるさまざまな分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力だ」と述べています。
とはいえ、同じような考え方を組み合わせたところで新しい考え方は生まれません。
つまり、似た考え・知識だけでなく、多様な考え方を知り、それを組み合わせることで、創造的なアイデア、イノベーションが生まれる可能性は高まるのです。
僕自身、この創造力の考え方を知ってから、意識的に多様な知識を自分の中に取り入れるようになりましたが、それ以降、新しいアイデアが生まれやすくなったように感じます。
多様な考え方を持つ人になることで、創造的な人間になれるのです。
多様な考え方を持つ人と関わる
自分自身が多様性のある人になることでも、創造力は育まれます。
とはいえ個人レベルでみた多様性には限界があります。
自分が多様な考えを持つだけではなく、自分とは違う考え方を持った人と関わることによって、より創造的なアイデアが生まれる可能性は高まります。
例えば、2020年はコロナの影響もありテレワークが急激に増加しましたが、一方で必要以上な人との関わりが低下し、長期的な創造性が低下したといったデータもあります。
つまり、私たちが創造力を発揮しイノベーションを生み出すには、多様な考え方を持った人と関わることが不可欠なのです。
また、世界的な産業集積地シリコンバレーは、元々ビジネスをするにはそこまで適切な場所ではなかったようです。
しかし、シリコンバレーでは、若者たちが仕事終わりに酒場に集い、日々情報やアイデアについて議論を交わしていました。
その結果、多くのイノベーションがシリコンバレーで生まれ、現在の繁栄に繋がっています。
自分自身が多様性を持つことで創造的になれる。
そして、多様な人々と関わり、多様な考えを受け入れることで、より大きなイノベーションを生み出すことができる。
多様性が持つ力は計り知れません。
2 画一的な集団の罠
多様性を持った集団はイノベーションを生み出します。
では、私たちが人を集めるとき重視しするべきなのは、多様性なのでしょうか、それとも個人の能力なのでしょうか。
「考え方が同じでも能力のある人を集める方が大切だ」
これまではこのように考える方が多かったと思います。
しかし、考え方が同じ天才の集団よりも、多様性に富んだ凡人の集団の方が柔軟な対応ができる可能性が高まります。
それを理解できるのが、次の図です。
この図では、円が個人の知識の範囲を示しており、それぞれの知識がどこに位置しているかをイメージした図です。
画一的な集団は、一人一人のカバー範囲は大きいものの、知識に偏りがあるため、全体の一部しかカバーできておらず、組織としての考え方にも偏りが生じる危険性があります。
一方、多様な集団は、一人一人のカバー範囲こそ小さいものの、それぞれが違う考え方を持つ多様な集団であるため、幅広い範囲をカバーでき、柔軟で多様な意思決定につながる可能性が高まります。
私たち個人の視野には限界があります。しかし、多様な考えを持つ人が仲間にいれば、一人では考えられないほど柔軟な意思決定をすることができるのです。
ただし、多様な考え方を持つ集団ほど意志を固めることは難しくなります。
そのような場合、いかに同じ目標を持つことができるかが重要です。
同じ大きな目標を持っていれば、それ以外の考え方が異なろうと、私たちは同じ方向を向いて一緒に歩むことができるからです。
考え方は違うけれども、最終的に目指すべき場所は同じ。
そんな集団が求められているのです。
現代の企業では「ミッション・パーパス」の重要性が語られることが多いですが、多様性の時代だからこそなのかもしれません。
3 人間の強みは社会性
多様性を受け入れることで、イノベーションを生み出す能力が高まり、集団としての意思決定も柔軟になる。
多様性は私たちが求める多くのことを与えてくれる「役に立つ存在」なのです。
そもそも人間の強みは「人から学ぶこと」です。
私たちの知性はゴリラやチンパンジーと比較して、そこまで変わらないと言われます。
それでも、ここまでの文明を築き上げることができたのは、社会性、人から学ぶ能力がどの動物よりも優れていたからです。
自分だけでは思いつかないことを他人から学ぶことによって、私たちはより成長できる。
多様性こそが、人間を人間たらしめるものなのかもしれません。
誰もが平等に差別なく生きられるような社会を目指すためには、多様な考えを受け入れられるようになることが大切です。
しかし、そこに至るための方法は道徳的な理由だけでなく、「役に立つ」といった理由があっても僕はいいと思っています。
少しでも今より多様な社会になるように、多様性のメリットが多くの方に伝わっていると嬉しいです。
また、多様性のメリットについては、「多様性の科学」という本で多くのことが書かれているので、気になった方はぜひ読んでみてください。
本日も最後までありがとうございました!
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【創造力の鍛え方】