【妊夫日記1012】嵐を待つ間に妻の髪を切って
家の裏にある細目の川は、昔から大雨が降るとよく氾濫していた。小学生の頃は玄関の床上残り1センチまで迫ってくる濁った水に興奮していた。翌日にやって来る役所の調査と消毒も印象的だった。
あまりにも氾濫する川だったので、治水工事が実施され、地下に毎時50mmの大雨が降っても逃がす設備を設置した。それから10年ほどの間には、一度も溢れ出ることはなく、ずいぶんおとなしくなったもんだなと思っていた。しかし三年前に、そうわざわざ僕がUターンして実家の隣に家を買い、家をリフォームし終わったタイミングを狙い済ましたように、溢れた。膝上まで達した水位は、どうやら排水装置の作動ミスによるものだったらしい。近隣住民は完全に虚を突かれ、新しくできたビルの地下駐車場には大量の水が流れ込んだという。
さて、今回の台風はどうなるのか。現在19時25分、史上最恐のその有り様が刻々と明らかになっていく。上陸直前で1都7県が特別警戒を出し、多摩川は二子新地付近から氾濫したという情報が流れている。今朝の8時の時点で、自家用車は少し高台に移動。そのときから思いの外強い雨が降り始めていた。とにかく上陸まで時間がかかっていた。
避難するか否か。子ども3人と妊婦をつれて、豪雨強風の中避難所まで行くか...
リアルタイムで更新される雨雲レーダーとにらめっこしながら、自宅付近の降雨量が一定以上になるかならないかを見極めようとしていた。
雨戸を締め切って、なんとなく夜が続いているような1日をすごした子どもたちだが、まぁいつもよりゼルダを長くやったり、満タンに水の入った湯船に驚いたり、雨漏りに植木鉢置いたり、不可思議な1日だったろうな。
暇だから髪を切れというカミさん。背中まで伸びていた後ろ髪をボブに、前髪もパッツンに切った。毛先がちょっとはねている。
そういえば、けっけに「ゴキブリ素手で退治したら千円な」って言っていたら、昨夜まんまと空手チョップで仕留めた。興奮した彼に、爆笑しながら千円進呈した。
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