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11月2日(土)新作能「草薙神剣 ~THE KUSANAGI SWORD Sacred Treasure~」なごや妖怪狂言「冥加さらえ」

2024年11月2日(土) 名古屋能楽堂で新作能「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」となごや妖怪狂言「冥加さらえ(みょうがさらえ)が上演されました。
雨の中、会場は500名を超える多くのお客様にお越し頂き満員御礼でした。
通常の能や狂言の公演に比べ、お子さん連れの家族が多かったのが印象に残りました。
それもそのはず、やっとかめ文化祭DOORSの能・狂言の公演では、地元の小学生達も出演されたからです。


最初は創作謡の披露から始まりました。
歌ったのは、草薙神剣の祀られている熱田神宮の近くの、名古屋市立白鳥小学校の子ども達11名でした。
和服に身を包んで、緊張しながら正座し歌う姿は、とても凛々しく美しかったです。
能楽堂なのでもちろんマイクはなく、独特の発声で会場の奥まで11名の歌声は響き渡っていました。
創作謡の詞章(歌)は、後の新作能「草薙神剣」の中でも歌われる詞章で、難しい音程と歌詞です。
子供達は約5ヶ月間もの間、学業の傍ら練習をされました。
練習の成果で、見事堂々と歌い上げた11名の小学生達に、会場は拍手喝采でした。


第二幕は、なごや妖怪狂言の「冥加さらえ」でした。こちらの狂言にも、可愛らしい小河童達が出演しておりました。オーディションで受かった小学2年から6年生の男女9名の小河童達、登場するやいなや、会場は暖かい笑いと声援で包まれました。
狂言「冥加さらえ」では、妖怪達が出てきますが、驚いたのは「おからねこ」演じる井上松次郎さんです。井上松次郎さんは、次に披露された新作能「草薙神剣」にも「火神」役で出演されていました。2つの作品と役の演じ分けは大変だと思いますが、立派に演じられておりました。
一般の子供とプロの能楽師の共演した狂言でしたが、息はぴったりで子ども達もとても良く練習されていたと感じました。子ども達の練習は2ヶ月に及んだそうです。
狂言は平安時代に庶民に人気だった猿楽がベースになっており、内容も分かりやすく、初めて見た内容でしたが概ね理解ができ、ストーリーを楽しめました。


新作能「草薙神剣」は、熱田神宮に祀られている、三種の神器の一つ「草薙剣」に纏わるお話です。
能は室町時代から650年続く伝統芸能で、美しい衣装・囃子・舞に、非常に趣深いです。
能の主役のシテは、能面をつけることが多いです。
今回は「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」、「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」、「宮簀媛(ミヤズヒメ)」、「火神」、「水神」が能面をつけていました。
能面は、表情がないと言われることがありますが、見る角度で表情が変わります。
美しくもあり、神秘的で少し不気味でもある能面をつけたシテの演技に、魅了されました。

驚いたのは、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、宮簀媛(ミヤズヒメ)は同じ能楽師の衣斐愛さんが演じられていたことです。
一人二役、しかも男性と女性の役を演じられていた事に、最初は気づかず公演後に知り大変驚きました。

公演後、何人かの小学生にインタビューをしました。
そのうち2人は、今回は出演していないですが、狂言を習っている小学生でした。
今回の能と狂言に、非常に感銘を受け「大人になったら自分も能楽堂の舞台に立ちたい」と目を輝かせて話してくれました。
今回の新作能には、3名の女性の能楽師が出演されました。
性別や年齢関係なく、日本の伝統芸能を皆で紡ぐという事の素晴らしさを、今回のやっとかめ文化祭DOORSの新作能「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」と、なごや妖怪狂言「冥加さらえ(みょうがさらえ)のイベントを通して感じました。

◯プログラム
・オープニング          創作謡
    名古屋市立白鳥小学校の子ども達
・なごや妖怪狂言 「冥加さらえ」
・新作能                  「草薙神剣」

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レポート:宇宙あさひ

■レポートしたプログラム

■まちなか芸披露

■やっとかめ文化祭

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