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まちなか芸披露「狂言 仏師」「能 土蜘蛛」
まちなか芸披露「狂言 仏師」「能 土蜘蛛」は、爽やかな秋晴れの名古屋能楽堂にて、満員御礼で幕を開けました。
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まずは、憎めない詐欺師と天真爛漫な田舎者の虚々実々の真剣勝負(?)を描いた狂言がはじまり、会場から明るい笑い声が上がります。畳み掛けるような後半に向けての怒涛の展開は、現代のコントにも通じますし、笑いと共に会場の温かい雰囲気も高まるのが伝わってきます。
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後半は打って変わって、時代に淘汰された土着の民を妖怪「土蜘蛛」になぞらえ、敗者の悲哀と勝者側の英雄譚を描いた能が演じられ、攻防の華やかな演出と静と動のメリハリの効いた立ち回りに会場中が息を呑んで見守ります。敗者を主役に据える所が、日本らしくもありますね。
ラストに土蜘蛛が断末魔の様に放つ蜘蛛糸は、きっと多くの方々の心に焼付いたと思います。
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古来、能と狂言は一緒に上演されてきたそうですが、狂言の現代にも通じる「日常のほっこりした笑い」で自然に能舞台の世界観に誘い、ドラマチックで深い能の世界に引き込む展開は、今を生きる人達にとっても物語に入りやすい在り方なのかも知れません。
親子で来場する方も多く、色々な世代の色々な価値観で、心に残る時間が受け継がれていったらと願っています。
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レポート: 近藤 加奈子 写真:ワカ
■レポートしたプログラム
■まちなか芸披露
■やっとかめ文化祭
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