小説 開運三浪生活 53/88「真夏の夜の騒音」
アパートに帰り一息つくと、受験への焦燥感が再び頭をもたげてきた。
――結局、ほとんど勉強できなかった……。
だが、そこは楽天的な文生である。
――いいや、夜中に取り返す!
十時過ぎにようやく数学のテキストを開き、問題に取りかかった。
が、小一時間過ぎたところで「ちょっと休憩」とラジオをつけたところで集中力が切れてしまった。気づけば邦楽ロックに裏声でハモリなぞ弄している。――わかってる、ラジオなんか聴いてる場合じゃねえ……。さらに小一時間経った頃、文生はやっとラジオを切り机に向かった。
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