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小説 開運三浪生活 46/88「白衣の水曜」

待望の水曜がやってきた。

実験室に入ると、大学生とおぼしき助手たちから白衣とネームプレートを渡された。広大生だろうか。文生はやや気後れし、空いている椅子を見つけてそそくさと腰掛けた。

さっそく固まってワイワイやっている三、四人の男子はおそらく寮生だろう。ちなみに文生も、寮に入ることをいちおうは検討していた。朝晩の食事が出るのは魅力だったが、集団生活は億劫に思えたし、普通にアパート暮らしするのとさほど変わらない金額だったので、結局広島でも独り暮らしを続けることにしたのだった。選んだアパートは家賃四万円だった。

実験テーブルの周りに置かれた丸椅子に、男女がぱらぱらと座っていく。集まった生徒はざっと二十人ほどだった。生徒たちの顔をぼんやりと眺めていた文生の目が、ふと止まった。

――似てる……!

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