生まれ変わり

「憧れは理解とは最も遠い感情だよ」とBLEACHで愛染が言っていた。
「憧れは止められねぇんだ」ナナチとリコがそう教えてくれた。
「憧れるのをやめましょう」と大谷翔平が言う。

憧れという感情はなんだか特別だ。
例えば恋だと思っていた感情が、憧れだったと気づいたとき、
恋が終わったりするかもしれない。
憧れは嫉妬と隣り合わせだ。
ちょっとしたきっかけで醜い感情に変わるかもしれない。
憧れはその時点で、すでに醜い感情かもしれない。

でもそれが人をどこかに連れて行ってくれるはずで、
それが人を戻れない道に引き込もうとしてくるはずだ。

この歌を書いたときの気持ちがどんなだったかは、
今の自分にも、これを聞く人にも関係ないことなんだけど、
自分でも引いちゃうくらいのメンヘラソングであるこの歌は、
「憧れ」って感情が実はその相手についてではなく
自分自身についての感情なのかも、と
思わせてくれる生々しさを宿している。
18歳の俺より、憧れの人へ

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例えば ぼくが砂に生まれていたら
貴方が歩く土になれたでしょうか
たかが一度きり通る道の
なんの気ない一歩だとしても
貴方を支えたならいい気がします

例えば ぼくが空に生まれていたら
どんな時に見上げてくれたでしょうか
貴方の心がどんな色に
滲んで見えなくなったとしても
ただ、白々しく澄み渡ってみせます

例えば ぼくが歌に生まれていたら
貴方はぼくを見つけたでしょうか
でも所詮 ぼくだから きっと
碌でもないような旋律で
貴方の心には届かない気がします

うるさい風が過ぎ
見えない雨が降る
夢でも見たら 続きをしよう

例えば ぼくが猫に生まれていたら
ぼくの絵を書いてもらえたでしょうか
クレヨンで手が汚れたことも
なんともないような顔をした
貴方に撫でられて鳴くのでしょうか

例えば ぼくが犬に生まれていたら
貴方と共に暮らせたでしょうか
玄関で不貞腐れて 貴方の帰りを待つような
時間もきっと ぼくは愛せるような気がします

明るい夜が過ぎ
冷たい朝が来る
夢でも見たら 続きをしよう

例えば ぼくは何に生まれていたら
心から幸せになれたでしょうか
例えば次は鳥に生まれて来たら
ここじゃないどこかへ行けるでしょうか 

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