パメラの遺した永遠の庭
生きてるうちが花なのよ、生あるうちに報われたいと誰しも思うけど、叶わぬことのほうが多いんじゃないか。
虎は死して皮を留め人は死して名を残す
どこがでみたことがある…
誰もがどこかで目にしたことのあるタロットは、1909年にイギリスで出版されたウェイト=スミスタロットではないだろうか。
ウェイト=スミスタロットは、文筆家アーサー・エドワード・ウェイトの思想を、パメラ・コールマン・スミスという若き芸術家が作画する共同制作として生まれた。
ウェイト版は、これまで78枚のうち、40枚は数札だったタロットをオール絵札で表現した初めてのデッキであり、知らない人がみても意味がわかる、タロット視覚化の大革命だったのだ。
パメラは当時僅かな画料で作画を請負ったといわれている。
デッキは当時の大ブームに。
けれど、ビジネスに疎かったパメラは、その後も富や名声を得ることなく、中年期以降は郊外での隠遁生活を送り、困窮のまま生涯を閉じたと評伝には記されている。
生前は画家として報われることのなかった人生だったけれど、死後、彼女の描いたタロットデッキは、世紀を越えて愛されるワールド・スタンダードとなっていく。
演劇や音楽にも造詣が深かったといわれるパメラの豊かな表現力。
近年はその功績を見直す機運も高まっている。
いろんなデッキがあるけれど、鑑定では、ウェイト=スミスタロットを使用している。
それはやっぱり、誰がみてもカードの世界観がわかるからだ。
パメラの絵は、伝わるからだ。
「パメラがわたしたちのために描いてくれた永遠の庭」
(マーカス・カッツ/タリ・グットウィン共著、シークレット・オブ・ザ・タロットより)
と称されたタロットデッキ。
その開け放れた庭に、どれほどの夜が、孤独が救われたことか。
あの世と重なるような不思議な世界があるとしたら、いつかパメラに伝えたいと、いまでも思っている。
Giant Rider-Waite Tarot
メーカー:U.S. Games Systems, Inc