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ヒトはなぜアカデミア研究をしなければならないのか
こんにちは、yatoです。私は博士課程を経て、現在はベンチャーキャピタリストとして大学の先生方と起業の可能性を議論する日々を送っています。その過程で、学生時代から抱き続けている問いが再び浮かび上がりました。
「アカデミア研究にはどのような存在意義があるのか?」
この記事では、投資家視点の"技術シーズ"としての話ではなく、進化と多様性という切り口からアカデミア研究の本質的な意義についての考えを纏めたいと思います。
これ即ち「ディープテックに(人生を)投資すべき」理由でもありますので、ディープテックに関わる方にぜひご覧いただければ幸いです。
1. 生物の進化:多様性が生存を支える
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進化論を提唱したチャールズ・ダーウィンによれば、生物は環境に適応する形質を持つ個体が生き残り、次世代へと繋がる自然選択のプロセスを繰り返してきました。しかし、この進化の裏には、遺伝子の突然変異や交配による"多様性"の存在が不可欠です。なぜなら、多様な形質が種全体の生存可能性を高め、未知の環境変化への柔軟性をもたらすからです。
以下に示すように、進化に影響を与える要因は多岐にわたります。
① 物理的環境因子
気候変動:氷河期による哺乳類の体毛進化のような、環境の変化への対応。
自然災害:火山噴火や隕石衝突といった劇的な環境変化。
② 生物的環境因子
捕食と防御:捕食者から身を守るために保護色やトゲといった形質が進化。
共生関係:花と受粉を助ける昆虫の関係のように、共進化による多様性創出。
③ 人為的環境因子
都市化と汚染:都市環境に適応した動物や、汚染耐性を持つ生物の登場。
農業と家畜化:人間が作り出した環境による作物や動物の進化。
このように周囲の自然環境に合わせ、より生存に適した進化を遂げてきました。
2. ヒトという種の多様性と進化
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ヒトもまた進化のプロセスを経てきました。初期には環境因子が大きな影響を与え、二足歩行や道具の使用、衣食住の発展がもたらされました。しかし、近代以降は言語能力の発達に起因する集団としての文化的進化がされてきました。
環境要因と初期のヒトの進化
二足歩行の起源:700万年前の気候変動により森林から草原へ移動した結果、二足歩行が進化。
食物と栄養:高カロリー食(肉や脂肪)の摂取が脳の肥大や知能発達を促進。
言語能力の発達による文化的、社会的進化
言語能力:言語の発展は協力や知識共有を可能にし、集団として繁栄。
技術の進歩:物の利用から始まり、蒸気機関の登場から、ヒトの個体以上のエネルギーを効率的に活用。
一方で、現代のヒトは進化の新たな局面を迎えていると感じます。医療や福祉、進歩した社会構造により、個体の淘汰圧が低下し、生殖・生存に関係しない多様性が多く生まれました。私は種の生存のための多様性を維持する新たな仕組みが求められていると感じます。
3. 科学技術が次の進化を導く
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では、これからのヒトの進化はどのような形を取るのでしょうか。現在、以下のような課題をヒトが抱えていると思います。
環境負荷:世界的な人口増加と資源消費の拡大による、地球環境の破壊。例えば、地球温暖化や生態系の崩壊。
先進国の出生率の低下:先進国の多くで出生率が2.1を下回っている。原因として、子どもを持つことが人生において必須ではなくなっている。
特に2については種の繁栄と逆行しており、国家として衰退を示しているとも考えています。これらの課題に対応するために、以下のような解決が必要だと思います。
地球環境負荷の低減
二酸化炭素の吸収・削減技術
持続可能なエネルギー源の開発
宇宙開発と新たなフロンティア
地球外惑星の探査と居住可能性の研究
宇宙空間での資源利用技術
生殖医療の革新
不妊治療や遺伝子治療技術の発展
生殖に関わる疾病の克服
これらは政治的な取り組みを無視したアイデアではあるものの、直接的な解になり得るとも考えています。つまりこのことから、科学技術は、進化の新たなステージを切り開くための鍵であり、その背後にあるアカデミア研究がより不可欠です。基礎研究が生み出す知見と多様な視点、および革新的な技術が、次世代のヒトの可能性を広げると考えます。
4. アカデミアが切り拓く未来
私たちヒトは、自然選択や文化的進化を経てここまで繁栄してきました。しかし、地球という制約や社会構造の変化(ウェルビーイングの変化)を考えると、科学技術による新たな進化が求められる時代に突入していると感じます。そのためには、多様性と創造性を育むアカデミア研究がますます重要になります。
種として未来を生き抜くために、私たちは科学技術を進化の原動力とし、新たな可能性を模索し続けなければなりません。アカデミアの使命とは、ヒトの進化を次のステージへ導く羅針盤であり、その価値を再認識する必要があると考えています。
私はアカデミアで研究をし、その後ベンチャーキャピタルとしてスタートアップ投資という、研究-ビジネスを両方見ている人間として、アカデミア研究が描く未来図のためにいかに資金を循環させるかを考え続ける必要があり、また日本のスタートアップエコシステムにいる人たちも考え続ける必要があります。
皆さんとともに、科学技術がもたらす未来を一緒につくっていければとても嬉しく思います。
※このnoteではディープテックに捧げるキャピタリストがディープテックに対する思いや日々の学びを書いています。ぜひ友達になってください!(情報交換やご飯などいきましょう!!)