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奇跡のオリーブ!シンボルツリーとの出逢い

矢田石材店が蒲郡市の覚性院とともに運営する「蒲郡はなえみ樹木葬」には、樹齢約300年というオリーブの木があります。墓園のシンボルツリーにオリーブの古木が選ばれたのには、ちゃんと理由があるんです。そして、奇跡も。矢田石材店の矢田敏起社長に聞きました。


思い描く今の“あの世”は樹木葬?

――蒲郡はなえみ樹木葬は、愛知県内30カ所のはなえみ墓園の中で初めての樹木葬タイプですね。

「樹木葬がいま、世の中に増えてきています。昨年は、日本全体でお墓を購入された方の半数近くが樹木葬だった、というデータもあります。みなさんが思い描く“あの世”のイメージが変わってきて、無機質な石のお墓が並んでいる風景よりも、樹木の方がふさわしいという方が増えているんでしょう。草花に囲まれたはなえみ墓園の発展形として、大きなシンボルツリーに守られたお墓も選択肢としてありかな、それならば、はなえみ墓園らしい樹木葬をつくりたい、と思って取り組みました」

蒲郡はなえみ樹木葬(覚性院)

――はなえみ墓園とはなえみ樹木葬の違いは?

「基本的なシステムは同じです。はなえみ墓園では最終的に合祀墓に入りますが、はなえみ樹木葬ではシンボルツリーの周辺に埋葬されます。土に還る、という自然回帰を表現しました。
お墓を見守れなくなったら合祀して供養しますが、その前までは、やはりそれぞれの家のお墓、大事な人を想って拝む対象となるお墓が必要だと思っているので、よりコンパクトでかわいらしいお墓を2種類(ヨコ型、タテ型)、ご用意しました。
開園してすぐに10組ほどの方にご契約いただき、ご供養されたい方のご要望にお応えできるお墓をつくれたかなと感じました。
初めからシンボルツリーの周辺に埋葬する“オリーブ葬”もご用意しました。当初はお骨のある方しかご契約できなかったのですが、生前にオリーブ葬を申し込みたいという方が大勢いらっしゃったので、改めて弁護士さんと内容を整え直して、生前でも契約していただけるようにしました」

蒲郡はなえみ樹木葬のオリーブ

石に代わる、永遠性の高い樹木

――シンボルツリーにオリーブを選んだ理由は?

「お墓というのは、亡くなった方たちの憑代となるものですから、すぐに朽ちたり壊れたりしては困ります。自然界にある物質の中で永遠性が高い素材ということで石が選ばれていたわけです。それに代わって、なるべく長い時間、同じ状態を保てる樹木ということで、オリーブを選びました。
ゆっくり大きくなる木で、ものすごい古木になると2000年、3000年も生きるそうです。樹齢100年以上に成長した古木であれば、そこから大きさも形もあまり変わらないようです」

はなえみ樹木葬に使うオリーブを選ぶ矢田社長

――それで樹齢約300年なんですね。しかし、地中海のイメージが強いオリーブのそんな古木が簡単に手に入ったのですか?

「苦労しました。関西地方でオリーブを使った墓園を経営している知人に聞いてみたら、スペインとかイタリアへ購入しに行ったそうで、それはしんどいなあと思っていました。ただ、昔、愛知県内でオリーブを育てているという新聞記事を読んだ記憶がかすかにあって、はなえみ墓園の植栽をやってもらっている方に聞いたら、地元の三河地域でオリーブを育てている園芸業者さんにつながったんです」

三河で出会ったオリーブの古木

――灯台下暗し、だったんですね。

「20年くらい前にスペインからオリーブの古木を輸入されて、育てていらっしゃいます。オリーブを輸入するとなると、枝も根もすべてはらって、幹だけで来るそうです。日本に着いてから育てて、根を張って、枝が伸びてとなると、当然それなりの時間がかかります。見た目が整うのにも時間が必要です。それが、輸入されてから育って、日本の気候に適合して、見た目も素晴らしいオリーブがあったのですから、奇跡です。ヨーロッパに渡らなきゃいけないかと思っていたら、こんな近くにあったんですから。ラッキーでした」

――オリーブは地面から一段上がったところに植えられているんですね。

「これも理由があります。オリーブは地中海の乾燥した気候で育っているので、水はけのよくない湿ったところに植えると、根腐れしてダメなんだそうです。日本はジメジメした気候で、地面に植えるには土をものすごく水はけのいい土に入れ替えるような、すごい地盤改良が必要なんです。そんな大規模な開発はできないので、大きな“植木鉢”をつくって地面よりも高い所に根っこがあるようにしてあります」

お寺は地域の宗教的な基盤

――はなえみ樹木葬はこれから増えそうですか?

「はなえみ墓園は寺院墓地の空いた区画にお寺と一緒につくっています。大きなオリーブの木を植えるので、ある程度の広さが必要となりますが、樹木葬をやってみたいというご住職も大勢いらっしゃいますので、広がっていくと思います。
墓地をお守りしているお坊さまは、宗教家として、今の人たちの死生観をどのようにすくいあげようかということを、考えていらっしゃいます。冒頭でも言いましたが、樹木があって、周りに小さなお墓があって、というようなイメージが、今の皆さんが考えるあの世のイメージに近いとしたら、選んでいただきやすいのではないでしょうか。
矢田石材店としては、お寺が地域の宗教的な基盤としてにぎわうことを応援させていただくことが目的ですので、これからも、お寺をご利用される方やご住職の皆さんの力となっていきます」


「矢田石材店なう」では、近況や情報などを随時お伝えしていきます。

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