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いろんな想いに寄り添う供養を

愛知県蒲郡市の覚性院に、樹齢300年のオリーブがシンボルの樹木葬墓園ができました。「蒲郡はなえみ樹木葬」です。建て売りで定価、草花のお手入れや永代供養が付いている安心の「はなえみ墓園」システムはそのままに、お墓をみる方がいなくなった時にオリーブの根元に移して永代供養します。樹木葬を取り入れた覚性院の中村真一(36)さんにお話をうかがいました。


名鉄西浦駅の近く

――覚性院のある西浦町は、西浦温泉のあるところですね。

「西浦温泉は三河湾に突き出た西浦半島の先の方にありまして、覚性院は半島の付け根のあたり、名鉄西浦駅の近くにあります。お寺の創立は1650年ごろと言われており、当時は西浦半島にある神田山という小高い場所に神社と一緒に建っていたのですが、明治の廃仏毀釈でお寺だけ移されて、現在に至ります」

覚性院の中村真一さん

――こちらがご実家ですか。

「そうです。今は父が住職をしておりまして、私は長男です。大学を卒業した後、浄土宗西山深草派の総本山の誓願寺に住み込みで2年間お世話になった後、10年ほど前に覚性院に戻ってきました」

さびしくなった『弘法さん』

――お子さんだったころに比べて、お寺の様子は変わりましたか。

「 三河の『弘法さん』という行事はご存じですか。毎年、旧暦3月21日の弘法大師のご命日に、弘法さんを祀っているお堂にお参りすると、お菓子がもらえるんです。子どもたちにとっては、ハロウィンみたいなイベントがあるのですが、だんだんと弘法さんでお寺に来る子どもの数は少なくなってきちゃいました」

――少しさびしいですね。

「西浦町内にも弘法さんを祀っているお寺はたくさんあって、昔の小学生はみんな弘法さんの日は早起きして、登校前に自転車で『弘法さん巡り』をしていました。配るお菓子は、前日までにお檀家さんや地元の方たちがお寺に持ってきてくださいます。私が子どものころは、集まったお菓子をお寺の本堂に広げると、お菓子の山に潜って泳げるくらいでした」

本堂

――少子化の影響でしょうか。

「少子化やコロナ禍などの影響もあるんですが、交通事故が危ないので、平日の学校へ行く前に子どもたちだけで弘法さん巡りはしない方がいい、みたいな空気もあって、お参りに来てくれる子どもは少なくなっています。覚性院では今も弘法さんでお菓子を配っていますが、もしかしたら町内にも弘法さんという行事を知らないという人がいるんじゃないかと思います」

本堂で雅楽の演奏会

――お寺に来てもらうきっかけが減っちゃいましたね。

「そうですね。でも、お寺の本堂で雅楽の演奏会をすると、町外からの方も含めて、たくさんの方が集まってくれます」

本尊の阿弥陀如来

――雅楽の演奏会ですか。どなたが演奏されるんですか。

「 僕も笙という管楽器とか、弦楽器の琵琶とか、舞を舞ったりだとかします。僕はたまたま京都の誓願寺にいた時に誘われたのがきっかけで、今も雅楽のグループに所属して続けています。覚性院で演奏会を開くこともあれば、よそのお寺で演奏を頼まれたり、あとはどこかのホールを借りていつも練習しているみなさんと一緒に演奏会を開いたりしています。ただ雅楽というのは、屋外で演奏していた楽器なので、本堂の中で演奏するとすごい音になるんです。覚性院で演奏会を開いたときはだれも居眠りする人はいませんでした。雅楽はBGMみたいなもので、集中して聴くようなものでもないんですけど、興味を持って来てくださるのは、ありがたいです」

オリーブのシンボルツリー

――今回、「蒲郡はなえみ樹木葬」が境内に開園しました。

「昔ながらの『お墓』というイメージとは違って、おしゃれなガーデニングみたいな感じです。お檀家のみなさんも想像していなかったと思いますよ。まさか、こんなお墓ができるとは、と、いい意味でびっくりされているのではないでしょうか」

蒲郡はなえみ樹木葬のオリーブ

――墓園内に移植したオリーブはいかがですか。

「自然界にある不変性の高いものとして石がお墓の材料として使われてきましたが、石の代わりとなる樹木を検討しているときに、スペイン産の樹齢約300年のオリーブの樹と出会って、これなら長い年月見守ってくれるシンボルツリーになるのではないか、とひらめいたと、矢田石材店から聞きました。オリーブは生命力があり、2000年から3000年生きると言われているそうです」

認められるよう精進して次世代へ

――はなえみ樹木葬に興味を持った理由は?

「30年ほど前に覚性院のお墓の区画を広げたときは、場所を確保するのにくじ引きをしなければならないほど、需要がありました。それが今では、当時確保されたおうちの方が亡くなられた時に、やっぱりお墓は建てなくてもいいかなと、せっかく確保した場所をお寺に返して、お骨は境内にある合葬の納骨墓に入れられる、という方も結構おられます。
どのような供養をしたいのかという想いは多様化しています。これからは、樹木葬をしたいという方がいらしても、応えられるようになりました。
ペット用のお墓もあります。
いろんなご供養の形に対応できるお寺が蒲郡にあると、はなえみ樹木葬のオープンを機に知ってもらいたい、と思っております」

閻魔堂(十王堂)の外観(左)と中の様子(右)

――お寺の将来について、どう考えていますか。

「お檀家さんとお話をしていると、僕が10年ほど前に覚性院に戻ってきたとき、これでお寺を継ぐ人ができたから安心だ、と言ってくださいました。自分ももちろん、これからお寺の仕事を引き継いで、いずれは住職として地元の方や檀家のみなさんに認めていただけるように精進したいと思っています。はなえみ樹木葬も覚性院でオープンしましたので、これからもお寺を維持して、自分の次の世代の方たちにもつなげていきたいと考えています」

山門

寺名:神田山 覚性院
宗派:浄土宗西山深草派
住所:愛知県蒲郡市西浦町北馬相11


永代供養のついた安心のお墓「はなえみ墓園」。
厳かな本堂でのお葬式を提案する「お寺でおみおくり」。
不安が少なく、心のこもった、供養の形を、矢田石材店とともに考える、お寺のご住職のインタビューをお届けします。
随時、月曜日に更新する予定です。

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