光造形3Dプリンターでウサギを出力してみた
この記事について
この記事では、光造形3DPでの制作について紹介します。
この記事は「OpenEsys Advent Calendar 2023」で書かれたものです。
「ものづくり文化」「CPUを作る話」「メタバース空間」など多種多様なトピックについて記事が書かれています。
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光造形3DPとは
光造形3DPとは、紫外線で硬化する素材(レジン)を使って造形物を出力する3Dプリンターのことです。
3Dプリンターには、他にも熱でフィラメントを溶かす方式(FDM方式)や粉末を吹きかける方式(インクジェット方式)など多くの種類があります。
光造形3DPは、FDM方式やインクジェット方式に比べて、気軽に高精度の造形物を作ることができます。
光造形3DPでは以下のような造形物を作ることができます。
馬の筋肉や骨の細かな形状を表現できていることが分かります。
今回作るもの
この記事では、ウサギを光造形3DPを出力します。
ウサギの3Dデータは、CGTraderというサイトの「Little rabbit Free 3D print model」というフリーの3Dデータを使いました。
作業手順
光造形3DPを使って造形物を出力する際は、以下の3つの手順に沿って作業を行います。
3Dデータの準備(モデリング)
出力の設定
光造形3DPでの出力
順に説明していきます。
1: 3Dデータの準備(モデリング)
モデリングソフトを使って、3Dデータを作成します。
モデリングソフトにはBlenderやFusion360などがあります。どちらでもモデリングは可能ですが、Blenderで作成した3Dデータでは造形物の曲面が角張って出力されてしまいます。そのため3Dデータを修正するか、Fusion360を使うことをお勧めします。正直、どちらを使うかは好みの問題だと思ってます。
モデリングについてはかなり奥が深いので、ここでは説明しません。
モデリングソフトで作成した3Dデータを、STL形式に変換します。
STL(Stereolithography)形式とは3Dデータを立体上の三角形(ポリゴン)が集まったデータのことです。
光造形3DPの出力設定の前にSTL形式に変換する必要があります。
2: 出力の設定
次に、作成した3Dデータを3DPでどのように出力するかを設定します。
先ほどのSTL形式はあくまで、作成したい造形物の三次元情報をポリゴンで表現しただけです。このSTL形式のデータを光造形3DPで出力するためのデータに変換する必要があります。
出力の設定には、モデリングソフトとは違うソフトを使います。
今回使っている光造形3DPはANYCUBIC社のPhoton Monoなので「Anycubic Photon Workshop」というソフトを使います。なお光造形3DPによって使うソフトは異なります。
光造形3DPはレジンを平面1層ごとに硬化させていって造形物を作ります。MRIのような感じを想像してもらうとわかりやすいと思います。
面ごとに造形物を作っていくので、面をどのような向きで捉えていくかが重要です。
画像のように、面の向きには何種類もあります。この中でどのような向きがいいか設定ソフトで決めていきます。今回はウサギの底面に沿って面をとらえます。
向きを決めたら、次にサポート材をつけます。
サポート材というのは、造形物の支えです。不安定な場所や周りから離れた場所にサポート材をつけて、光造形3DPの出力中に造形物が崩れないようにします。
他にも色々な設定がありますが、この記事では割愛します。設定が終わったらデータを出力し、光造形3DPに読み込ませて、実際に出力していきます。
3: 光造形3DPでの出力
設定し終えたデータを光造形3DPに読み込ませます。
光造形3DPにUSBを差し込み、データを選択すると出力が開始されます。
出力時間は3Dデータの大きさと層の数で決まります。同じサイズの3Dデータの場合はFDM形式に比べて、短い時間で出力できます。
光造形3DPの出力が終了したら、出力物を取り出します。
出力物
光造形3DPで出力したウサギです。
ウサギの丸みが表現されているおり、かなりの高い精度で出力されていることが分かります。
まとめ
今回の記事では、光造形3DPでウサギを出力する方法について説明しました。光造形3DPを使う際は、レジンの準備や後片付けなどが必要ですが、今回の記事では省略しました。
レジンの準備や後片付けが大変そうですが、慣れると簡単にできます。光造形3DPではFDM方式で出力できないような造形物を作ることができるので、オススメです。
今回はフリーの3Dデータを使いましたが、次は自分でモデリングした3Dデータを出力したいと思っています。