夢と追憶の境界
ときどき夢を見る。
僕がずっと追いかけている夢だ。
果てしなく、遠い道のりで絶対に辿り着けない夢。
でも、そんな大層な夢じゃない。誰もが思いつくような夢だ。
人の心に近づくためのしがない研究者が見るちっぽけな夢だ。
時の権力者は言う。国際的競争力を上げるために、コストを下げる必要がある。しかし、周辺諸国の人件費は上がっていくばかり。
君の作ったロボットは、そんな社会問題を解決できるポテンシャルがあると。
僕は、人を愛し、人から愛されるロボットが作りたかった。
しかし、そんな理想のロボットを作り上げるには莫大な資金が必要だった。
そんな甘い話を持ちかけられ、夢に没頭していく僕を当時の妻は悲しんだ。
僕の同僚はみんな、ニューラルネットを信仰し、ネットワークによる分散特化型人工知能は社会の諸問題をピンポイントで解決できると言い、僕みたいな物理主義者は冷酷なストレンジャーは、時代遅れだといった。
結局彼らは、人間の心の再現には至らず、人の代わりをできるようなモノは作れなかったが、私は見せることのできないような実験の末にできあがった完成品だ。
博士は一体、私に何を求めたのだろう。時々見せられる夢は再教育のためだと教えられている。
亡くなった奥さんは最後まで私を許さなかった。
生まれた同士たちは、結局人に愛されることはなく、無限の資本により増産されている。
はたして博士の夢は実現したのだろうか。
私には何が夢なのかワカラナイ
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最後まで、読んでいただきありがとうございました。
宜しかったら、他の記事もあげているので、息抜きに読んで貰えたらなと思います。
さて、まだ、インスタントフィクションを書き始めて5作目なのですが、そろそろ連載で短編の小説を書いてみたいなという気持ちが芽生えてきました。
そこで、こんなの書いてほしいみたいなテーマがありましたら、コメントをお願いします。ご希望に添えるかはわかりませんが、ぜひ、参考にさせて頂きたいと思っております。よろしくお願いします。
YaTaro
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インスタントフィクション【夢と現実の間】
筆者が2020年から約1年間、小説執筆前の助走機関として書き溜めた500字程度のショートショート集。作品に昇華していく前段階の着想が散りば…
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