英語学習者は、must-read article
こういう記事があるから雑誌The New Yorkerは止められない。今日の記事は数回読み直したし勉強になるよ。というか、英語を使って仕事をしたいなら「imperative」「prerequisite」「indispensable」な記事だろう。
英語中級者の私は、恥ずかしながら「Pet Peeve」さえ知らなかった。
文章で表現することを生業としている人は、日本語でも英語でも同じだなんだなって今日の記事を読んで改めて思った。陳腐な表現をしたくないと思うのは何処の国の人も同じで、表現法を工夫するのも万国共通だ。「warming trend」という気象関連に使う言葉を、経済市況に使ってしまったのは、「the power of sight to things that don't have eyes」の一例だと言っている。こういう表現、英語初学者にとって、気の利いた使い方だと思うかもしれないが、実は逆だ。真似しない方がいいだろう。
「split infinitives」分離不定詞に対して嫌悪を感じているネイティブの人も多いようだ。ちょっと調べてみると、分離不定詞の例として、wikipediaによれば、スタートレックのTV番組の冒頭で出てくるフレーズが挙げられていた。「to boldly go where no man has gone before」、英語初学者は、気の利いた使い回しだと思うだろう。私も、分離不定詞って洒落た言い方だと思ったけど、実際は、ネイティブの人でも使う事を嫌がっている人がいるという事実。これは日本語でも同じ事だ。いわゆる「ら」抜き表現が徐々に一般的になっている事に似ている。「それ食べられるよ。」って表現も「それ食べれるよ。」って普通に使われている。それに近い感覚だろうか。
次に、「appositive」が取りあげられていて、ライターは使うべきじゃ無いという。この「appositive」、これを同格と呼び、話し言葉で使われる事はほとんど無いけど、書き言葉でよく多用される表現法だ。次の様な例文を挙げていた。
はっきり言って、この例文は、「appositive」が解りにくいというより、日本人にとって「be survived by」の使い方が分かりにくいだろう。まあ、この意味は無視して(知らなかったら自分で調べて)、このような「appositive」を英語初学者は使うべきじゃないだろう。
そして、この「appositive」で混乱する例を説明するのに、雑誌National Geographicの記事を挙げている。雑誌National Geographicの記事の英文が変だなんて普通の日本人は思わないだろう。それでもネイティブのプロのライターは違和感を覚えるようだ。
色々と説明を受けてから、この文章を読むと、主格の視点の動きがあり解りづらい。説明されると理解できるが、私のような英語中級者が初見で判断するのは難しい。
こういう「appositive」な使い方を、話し言葉で使ったら、「the speaker were struggling to learn English」って思われるというから、やっぱり注意した方がいいだろう。
こういう風に、文章の簡潔性を目指して文頭に文章を持ってくるような文体を、「Bad Things」と呼んで、使うべきじゃないというのが筆者の意見だ。速く読めば読むほど、「Bad Things act like comprehension speed bumps.」というように理解するための律速段階になってしまう。その説明として次の2つの文章を挙げている。
最初の文章が、読む順序で理解できるが、2つ目のセンテンスは、話し言葉になると混乱が生じるのがわかるだろうか?典型的な「Bad Things」の例の1つだ。
ラテン語と異なり、英語は、単語の語尾変化(infleciton)が失われているので、意味を成すために言葉の順番が重要になっている。“dog bites man” と “man bites dog.”の意味の違いは、即座にわかるだろう。しかし、Bad Thingsは、文章を不可解にするほどではないが、解りづらくしてしまっている。
このBad Things、古典からの名残じゃないかというアドバイスを受け、数十年に渡り、この点に気をつけて古典を読みあさっても、Bad Thingsの例に触れることは無かった。20世紀初頭の数十年は、ほとんど見られなかった表現が最近になり増えていて、今は何処にでも見られる表現法になっている。意識的だろうがなかろうが、こぞってライターが真似を始めた結果、1つの文体として確立してしまったのも1つの原因かもしれない。そして、次のワシントンポストの記事を取りあげている。
この文章の「he」や「his」が誰を指しているのか解らなくなってしまう。全て同じ人物だろう。
このBad Thingsは、やはり、新聞の記事のように語数が限られた狭いスペースにできるだけ多くの情報を押し込めないといけない事情から生まれた可能性がある。そして、今や新聞以外に広がってしまっている。
ジャーナリストが、Bad Thingsよりも悪いことをしでかしていて、それは雑誌The New Yorkerの現場でも生まれている。実は、この記事を書いている筆者が1999年の記事に次のような文章を載せている。
この文章の中に「indirection」という不明瞭さが隠されているけど、もう一度読み直して、どこに不明瞭さがあるか考えて見るといい。それが、解ればかなり英語の達人だろう。
実は、「six-room」に不明瞭さが隠されている。アパートメントという情報を呈示する前に、この言葉を出していることが不明瞭さに繋がる。筆者の意に反して、校正をしている編集者に付け加えられてしまったところに問題がある。雑誌The New Yorkerでこういう事態に陥った原因の1つに、1945年から1999年まで英文法をチェックしていたEleanor Gould女史が引退した直後だったこともある。この「indirection」は雑誌The New Yorkerで、今も問題になっていて以前より酷くなっている。
この現象に対する捉え方は、雑誌社によって異なっている。スポーツ記者は、「indirection」を推奨している。やっぱり限られた場所に多くの情報を詰め込まなければならないかだろう。
確かに「indirection」は多くの情報を短いセンテンスに詰め込めるので経済的にみえる。しかし、筆者がこの記事を読むと、二人の人間が、お互いに話を遮りながら同時に話しかけてくるような感覚になるそうだ。
この「indirection」は、時に、同じ言葉を二度使わないライターの多大な努力から生まれていることもある。これを「elegant variation」という。
中華料理店に行けばお馴染みのフォーチュンクッキーを、「these wafer prognosticators」、 「the confections」や「these predictive desserts」に言い換えているのがいい例だろう。雑誌The New Yorkerで長年編集者をしていた故John Bennet氏は、所属ライターに「A banana is never ‘the elongated yellow fruit.」と言っていたそうだ。
Bad Thingsをあまり気にしていない、英語言語学を大学で教えている先生でさえも、Daily Mailの次のヘッドラインを読んで、学生にどう教えていいのか困ったそうだ。もうほとんど俳句とか詩の世界の表現法と同等だからだ。次の文章を読んで、意味が分かる?
私はさっぱり解らない。でも、解らなくてもいいような気がする。実は、このヘッドラインの内容は、「the head of the Metropolitan Police Service’s antiterrorism force, who had angered some retired officers by wearing a heated garment that was designed to allow men to experience one of the symptoms of menopause.」である。
ここから、文体の流行廃れの話にはいる。1800年代後半に、受け身進行形「is being」が使われ出したころに、この文体に文句をいう聖職者がいたそうだ。「the house is being built.」なんて表現は許せないという風潮に賛同する人が多く、activeとpassiveを合体させた「passival」という表現法で、「the house is building.」と言う流れがあったそうだ。そして、このpassivalで書かれた本が1815年に出版された。それが「Emma」で次のように書かれている。「Jane Austen describes a visit to a shop in which some parcels “were bringing down and displaying on the counter”.」小包が自分で動いたかのような表現法だ。当然のように、こういう表現法は時代とともに消え去ってしまった。
この筆者が毛嫌いする、Bad Thingsに慣れていかなければならないのかもしれないが、時代の流れの中で「passival」のように廃れ消えてしまうかもしれない。
19世紀に多用された分詞構文を取りあげているが、次の文章も凄い。
筆者も、19世紀に流行った分詞構文の多用には辟易しているようだ。
「Peeves are interesting,」かもしれない。1人の意見が影響して、その表現が使われ続けることもあれば、多くの文法学者が否定して気にされていなかった表現法のような分離不定詞が残ってしまうこともある。使い方が誤っているからと言って禁止すべきでないけど、私と同様に中学教師は抵抗し続けるべきだと言う。ここで、2つの単語を引き合いに出している。「discrete」と「discreet」、さあ、この言葉を知っている?知らなければ、まだ英語の初心者だろう。単語をもう少し覚えておかないといけないので、基礎的な英単語力をつけよう。そして、意味を知っていた人も、この言葉が同じ言葉でスペル違いって知っていました?私は全く知らなかった。英単語の場合、1つの単語にいくつもの意味があることを皆さんも知っているだろう。言語学者は、この2つの単語を分けて保存しようとした結果2つの単語が残ったそうだ。
言葉は変化している。日本語も変化するように英語も変化している。Bad Thingsが、このまま現代英語として残るのか、消えていくのか解らない。それでも、この筆者は、Bad Thingsを使うのを嫌っている。今日の記事は、何度も読み直すべきだろう。私は、Okernt女史の「Highly Irregular」を購入した。
最後に、筆者の強い気持ちがラストのセンテンスに込められていた。