伊藤詩織の控訴審判決⑬友人の陳述書が一致するのは当たり前。
控訴審判決では伊藤詩織の友人の陳述書が本人の陳述と一致している点を重視し判決の根拠にしている。しかし、基本的なプロット土台となる原稿、資料があって、それを参考にして友人たちが陳述書を書いているとしたら、一致をするのは当然であろう。
また、看護師Sの陳述書には時系列的にあり得ない矛盾があったり、Kの陳述書により、伊藤の口頭弁論でバスルームで助けを呼ぶことを「考えませんでした」→「考えました」に修正されたことなどがある。
したがって、友人の陳述をもって真実性を判断するのは難しいと思われる・・・が、高裁判決はそれを行った。
伊藤詩織の友人はBlackBox 等に英文字で表記されているが、S、R、K、I で登場する。(裁判資料では異なったイニシャルが使われていることもあり、注意されたい。)
S看護師で中学からの幼馴染。RとKは六本木のお店で伊藤と知り合った(モーリス氏情報)。Iは留学仲間とのこと。(AERA)
R:伊藤に法テラスを紹介し、ホテルの防犯カメラの映像を入手する必要性を指摘され、伊藤氏に伝えた。本人は以前セクハラを受けて裁判の経験があると書かれている。この時相手は一度認めて謝罪したが、裁判で覆されたという。山口氏とのメールのやり取りは友人達が素案を作ったが、執拗に謝罪を引き出そうとしている文面からみると、このRの提案ではないかと思われる。
K:伊藤とは2010年来の付き合い。彼女は伊藤氏の親友とのことで海外の伊藤氏のもとに長期滞在したこともある 。更に事件後「伊藤の生活を支えてきた。食べられなくなり、外に出ればパニックをおこし、フラッシュバックに苦しむ傍らで、24時間見張るように寄り添った。」
警察にも同伴し、調書作成の時は隣に座った。」(AERA)つまり、Kは伊藤氏の供述調書の内容を知っているはず。Kは2017.7.12 検察審査会宛てに自ら陳述書も書いている。
もし、初期の供述書と伊藤氏の陳述やKの陳述書が一致していれば、伊藤は最初から強姦致傷の内容を捜査員に伝えていたということになり、準強姦として扱ったのは伊藤のいうように警察側という事になる。伊藤は警察とのやり取りを録音しているとのことで、本来なれば山口氏側の追求があった時に出せばよいものを、出してきたのは検事との録音であり、これでは具体的に捜査員とどの様なやりとりがあったかがわからない。ただ検事に上がってきた段階では、Black Boxに書かれていたような話をしていたという事だけは明らかにされた。
S : 看護師としてサポーターを選び、膝が痛いといっているにもかかわらず、伊藤を家具選びに付き合わせた人物である。当時「膝のズレ」といわれるものがどの程度であるかどうかよく知っているはずの人物である。医療従事者なら、この表現と症状がかけ離れていることに疑問をもつはずである。
Sの陳述書には「加害者の山口氏のことはニューヨークに一緒にいたときにも詩織さんの仕事の話の中で聞いたことがありました」とある。彼女もまたニューヨークで伊藤詩織と会っていた。しかも伊藤氏は世界中にコネクションがあるなか、山口氏との話を伊藤から聞いている。中学のころから一緒にいる幼馴染みらしい。DRD使用については「詩織さんが意識を失ったのは、アメリカなどで問題となっている薬や睡眠薬が、山口氏によって使われたのではないかと考えました。」と伊藤と意見を共有している。
この看護師Sは伊藤詩織の妊娠検査に付き添い「検査結果を待つ間、事件後に山口氏から送られてきたメールを見せてもらいました。」と陳述書に書いている。ところが記載されたメール内容が送られたのは翌日のメールで明らかに矛盾していたが、裁判所は見落とした。
I:BlackBoxでの登場回数は少ないが、AERA2019年01月28日発売号に彼女が行ったことが書かれている。
BBC の映像盗聴器をさがす場面で顔だししているのが彼女だといわれている。
Iの動きを整理すると次のようになる。
❶山口氏のフェイスブックにたどり着いた場面 「友人のIと会っている時、彼女がFacebookで山口氏の投稿を発見。伊豆にいることが分かる。捜査員A氏に連絡し、山口氏が日本にいるので聴取してほしいと頼むも、警察はFacebookを見ることもメールもできないと断られた。」(BlackBox)
❷安倍総理がゲストで出た国際女性ビジネス会議の会場のホテルで山口氏を見かけたという情報を伊藤に伝えている。(BlackBox )
❸AERAでは伊藤氏が当事者が「見る」のもつらい記録していた情報を「検察審査会での陳述者のために整理した」のが彼女と書かれている。
陳述書は本人、K、Sであり、彼女らの陳述はIが整理した、あるいは整理したものを元にした可能性があるのではなかろうか。ならば一致するのは当たり前である。
ちなみに本人の陳述書は弁護士のアドバイスもあったかもしれないが完成度が高く文体がしっかりしている。内容的にはBlackBoxに非常に近い。
原稿はIの整理したものを中心に作られたのではないだろうか。
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