伊藤詩織の控訴審判決➀理由がわからないと作ってしまう裁判官
控訴審の判決がでた。ご存知のように一審の山口氏側の不法行為はほぼそのまま、膝の受傷まで認めて332万8300円、伊藤側には新たに名誉毀損、プライバシー侵害として55万円。
控訴審は途中で前の裁判官が定年で退任し、変更している。そのせいかどうかわからないが、みたてが混乱している印象を受けた。
たとえば性交が行われた時間について争いがある。
伊藤:5時
山口:2時~3時
伊藤はその日のうちに住まい近くの産婦人科イーク表参道に行った、そこのカルテには「cotus 4/4 AM2-3時頃コンドーム破れた。」という記載があった。
これについて伊藤氏は「このようなことは一切答えていませんし、また彼女と交わした言葉は、彼女、ショートカットの女性のお医者さんが私の顔を見ずにいつ失敗されちゃったのと聞き、それに対して明け方ですと答えただけで、どう失敗したのか、何があったのか、何時だったのかという会話はそこに一切ありませんでした。」と一審の口頭弁論で言いきっている。
コンドームを使用していなかったことは双方が認めており、そのため一審の裁判官はカルテの内容そのものが疑わしいとみた。
そこで控訴審では山口氏側が直接イーク表参道に尋ねた。守秘義務があるためにイーク表参道の担当医師は直接事件について言及はしなかったが、「カルテに記載がある内容が、医療行為の全て」と回答してきた。
婉曲的ではあるが、そんなふうに患者の言っていることを歪曲して書くなどという事はやってませんというニュアンスを伝えてきた。
控訴審の裁判官はこれをうけて医師のカルテの真実性を認めた。ところが裁判官は、「理由は必ずしも明らかではない」が「本件行為のあった時間を含め、混乱等を背景にその認識とは異なる申告をしたとみる余地がある。」などと言い出して2時から3時に性交があったことを認定しなかった。
どちらもそのようなことは言っていない。2時~3時と言ったか、明け方と言ったかどちらかであり、第三者である医師は2時~3時と記録し、伊藤は口頭弁論でこれを否定し、明け方と念を押しているのである。
この状況で伊藤は混乱等を背景に2時から3時と言ったと認定するのは無理というもの。これは経験則に違反した事実認定として、最高裁が指摘しなければならない問題である。
当時診察した医師は高裁判決の日に次のようなツイートをした。