VRChatってどんな場所?現実の会話と違うところ
この記事は10分程度で読めるらしいです。
私はVRChatというコンテンツのユーザーの一人だ。最近は週に2,3回程度楽しんでいる。
その中でもさまざまな楽しみ方があるのだが、その一つとして知らない相手の話を聞きに行くことがある。
面白い話が聞けるかもしれないという、新しい刺激・偶然の出会いを楽しんでいるのだ。まぁ、平たく言えば創作やVRChat内外の仲の良い人向けの雑談のネタ探しに過ぎない。
そんなVRChatで過ごしていくと、現実とは違った独自のコミュニケーション文化があると思ったため、まとめることとする。
特に大義名分はないが、VRChatを始めようか迷っている人、どんなところか他の角度から知りたい人にとって意味のある内容になることを願う。
VRChatについて
VRChat(ブイアールチャット)とは、仮想空間で他者とコミュニケーションと楽しむVRコンテンツだ。
他のチャットコンテンツや通話アプリと違うのは、アバター、仮想空間上での姿があり、MMORPGのように自らの望む姿になれる。
更に、実際に自分が腕を動かすと、VRの中のアバターも同じく腕が動く。ボタンを押すのではなく、身体的な操作によって動きを感じることで没入感が増す。
その他にもVRChatの中にはカードゲームやクイズを遊ぶのに特化した場所がある。そういった、他のユーザーと交流を深める手段がたくさんあるのが魅力だろう。
他にも、アバターにより変身願望を叶えたり、現実では話の合う人がいない趣味の話を出来たり、というのがユーザーを離さない一因だと思われる。
ちなみに、最初にVRコンテンツだと言ったが、HMDは必須でない。マウスとキーボードとそれなりの性能のパソコンがあれば快適に楽しむことが可能だ。
最近であれば、有名な配信者がVRChatを始めたことで話題になっていたと思う。おかげで比較的安価なHMDが各所で販売御礼という話を耳にする。そうでなくとも、「年々VRChatに新規参入するユーザーが増えている」と数年前からいるユーザーたちはよく語っている。
配信者によるVRChat配信が始まったのは8月。そしてその冒頭から急上昇していることから配信効果の絶大さが頷けるだろう。そしてそれ以前からも徐々に人気度が上がっていることが分かる。
詳しくデータを参照したい方はこちら。参照元はgoogle trends。条件は[日本, 過去5年間, すべてのカテゴリ, Web検索]としている。
VRChatという場所の特殊性
そんなVRChatでのコミュニケーションは、現実とは違った特殊な形態をしている。
3人以上での会話が多い
プロフィールがいつでも見れる
仮想3D空間とアバター特性の融合
3人以上での会話が多い
誰でもいいから雑談したい!みたいな人たちが集まる場所がある。イメージとしては、雑談したい人が集まるカフェみたいなものだろうか。
一対一で話す機会もあるが、3人以上のグループとなって話す機会が多い。同じカフェに何十人も集まって会話する空間となっているため、数人グループがポツポツと部屋の中で形成されていくのだ。
そのため、後からこの部屋へ来ると会話への参入自体が難しい。
既に出来上がっているカフェテーブルの席に飛び込む必要性が生まれてくるためだ。
どんな話の内容かもわからない状態で話の流れを切ってでも「こんにちは~」と入っていくのには勇気がいるだろう。
もしくは、同じように会話参入に困惑する者同士で新たに空いているカフェテーブルに座り、会話グループを形成する。そんな感じでこの雑談部屋で会話していると思う。
一応、数ヶ月前に一対一で話すことができる機能を持った場所が生まれた。現在でも利用者が多く、筆者が実際に話を聞くと、3人以上の会話が難しいと感じているユーザーの存在が確認された。
プロフィールがいつでも見れる
現実における自己紹介と言えば、まず自らの名を示すところからになる。だが、VRChatではその必要性はない。視えるからだ。これだけ言うと、死神と契約したのか?と思われそうだが、残り寿命は見えないのでそうではない。
相手のユーザー名が常に表示する設定になっているため、他のユーザーに会えば自然とそのユーザーの頭上にユーザー名が見えるしくみとなっている。
これは設定から変更することができるが、便利な機能であるためオフにしている人は少ないだろう。
おそらく、一人のユーザーが複数のアバターを持つことができるため、実装されている機能だと思われる。
同じユーザーでもアバターが変わってしまえば、誰だかわからなくなる。既知の相手であれば声で判別できるが、親睦が深くない相手に久々に会う場合では、識別できないだろう。
そして、名前以外にもプロフィールを見ることができる。任意の文章を500字程度書くことができ、自由記述ゆえに書き方にそれぞれの個性が見える。
このプロフィール機能が何に役立つのか?
自分と趣味の合う人間を探しやすくなる。
話題を作りやすくなる。
どうせ話すなら、自分の気の合う人間と話したい。見つけたい。そう思うのは一つの戦略として自然だろう。
先程の誰でも入室できる雑談部屋のように、人が多いと”誰と話すか?”という選択が生まれてくる。そこで絞り込む材料として、同じ部屋にいるユーザーのプロフィールを確認するのだ。そうして話してみたいと思えばその相手に接近する。
これを話さずして確認できるのだから、楽だろう。
いちいち相手に「趣味はなんですか?」と聞く必要がない。
「映画を嗜んでいるようですが、どんな映画が面白かったですか?」と会話に必要なプロトコルを一つ回避できるのだ。
プロフィールを書くことは多い選択肢の中から自らを選んでもらい、そして相手のプロフィールを確認することは、自らと気の合う相手を効率的に探す生存戦略なのだ。
仮想3D空間とアバター特性の融合
難しい名前になってしまったが、内容はさほど小難しい話でもない。
仮想空間であれば現実の肉体とは違ったアバター、仮の体を手に入れることはよくある。例えば、MMORPGやスマートフォン向けアプリの出会い系ライブチャットなどだろうか。
だが、これが3Dで自由にアバターの動きを操作できるとなると話が変わってくる。
筆記による会話
撫でる、撫でられる
1.は、なんらかの理由で声を使って会話をしない人がおこなっている。
会話に緊張してしまう人や、マイクが壊れている人など。理由はさまざま。
一応、機能として文字入力によるチャットができるのだが、おそらく、これが少ないのはキーボード入力でないと日本語を入力できないためであろう。
VRの没入感を得るために立ってプレイしているため、キーボード入力するために毎度パソコンの前に移動して……という作業が億劫になる。であれば、筆記で会話したほうが合理的なのだろう。
(私は当環境に類しないため憶測となる)
2.は、撫でたい人、あるいは撫でられたい人がコミュニケーションの一環として求める。
かわいいから、癒やされるから、撫でたいからなどの理由が考えられる。
現代社会の理性的な場面から考えると、驚くべきコミュニケーションである。ASMRバイノーラル作品でしか存在しないと思われたものが、ここにあったのだ。好きな人にとっては桃源郷かもしれない。
ただし、対象は主に可愛い系アバターであることは留意すべき点である。
ちなみに、一部のVRユーザーはV感と呼ばれる、VR上の感覚を錯覚してしまう第六感のような力を持っている。HMDやそういう機能を持ったデバイスを使っていないのに、だ。V感があると、撫でられたときにその感覚を感じるらしい。人によっては感度が高く、刺激が強い人もいるらしい。
この感覚は先天的なのか、後天的に獲得するものなのかについて、情報が少ないためわかっていない。
まとめ
以上のことから、VRChatのコミュニケーションの特殊性が伺えたと思う。
SNSらしい無数の相手と繋がるという性質やアバター文化がこれらの要因に寄与していると思われる。
VRChatではなくVRSNS全般に当てはまる項目がいくつか含まれる。その箇所については目を瞑っていただきたい。筆者が属し、よく知っているのがVRChatのみであるため、このような紹介の仕方となった。
より実態について知りたい方は、配信や動画を閲覧、あるいは実際にVRChatを始めてしまうのも手だろう。
注釈
仮想空間
流行りの言葉でメタバース。アバター
VRChat上での姿。おじさんでも美少女になることができるし、女性でも憧れのイケメンになれる。(この場において解釈違いの受付はしておりません)ユーザー
ここでのユーザーは、VRChatの利用者。HMD (ヘッド マウント ディスプレイ)
VRと聞いて脳裏に思い浮かべる頭にかぶるアレ。(患いが無ければ)現実のあなたの目と脳のように向いた方向によって映像が変わるため、没入感が増す。プロトコル
ルール。主にコンピュータでデータをやり取りするための決められた手順や規約のこと。ASMRバイノーラル
ASMRは心地よくゾワッとする感覚のこと。バイノーラルは人間の聴覚のしくみ、音響効果を再現した録音方法で、リアルな音に感じられる。VRSNS
VRChatなどのVR上で人とのコミュニケーションを主とするコンテンツ。他にはVirtual Cast、Resoniteなどが存在する。
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