貸付型クラファンの過失?再びか
大手SBIグループ傘下のSBIソーシャルレンディング社という所謂貸付型クラウドファンディング事業を行う会社で、去る2月に重大な懸案事項が発生し、4月まで第三者委員会による調査があり、最近出てきました。結果は、義務違反(というか過失?まで行きそうな)や財務諸表などを見ないようなプロ意識欠如というかなり根本的な点が指摘されていました。(詳しくは下記リンクをご確認ください。)
それにしても、何点か突っ込みどころが多かったな、と思い、書いてみることにしました。但し、上記第三者委員会の指摘点については再度突っ込まないようにしようと思います。
現在は調査中だが、同社は求められる善管注意義務を十分に果たしていなかった可能性があり、金融商品取引法違反に該当する行為があったという認識だ。そのため、対象ファンドの投資家へは未償還の元本相当額を補填する予定。投資家への補填は原則法律で禁じられているが、今回は金商法が規定する事故として例外扱いできるという見解だ
①貸付型クラウドファンディングは匿名組合を通じた投資ですが、今回の件は『事故』として例外扱いで、SBI(グループ?)からソーシャルレンディング社を通じて、投資家への損失補填ができる?とか。
②同業界でも以前には『みんなのクレジット』や『ラッキーバンク』、そして大型であった『maneo』など、似たような事象(貸付先へのモニタリングなど)で結果的に貸付先から投資資金を返済してもらえず、レンディング事業も閉鎖、金融庁からの行政処分に加えて大きな人事一新という形になりました。今回SBIグループという金融庁OBが多くいる組織へ処分は、従前の事業者と同等なのか、それとも忖度されるのか、注目です。
因みに私が考える、なぜ貸付型クラウドファンディングで多くの事業者から似たような事象がみられるか、というポイントをまとめてみました。
・預金者は銀行預金においておくより、貸付型のクラウドファンディングへおいて、毎月の金利を稼ぎたいと思っている(多くの資金需要がある)
・事業側は初期コストが大きく、数億程度の貸出金(ストックビジネス)では、事業自体は赤字になってしまう。また人件費もかけられないので、良い人材も雇いにくいという現状。多くの個人から早く資金を集めるために、貸付先の事業のソーシングに懸命になりやすく、実際の貸付先モニタリングへのリソースがかなり限定的。
・業界内で、maneoやクラウドバンク、他の貸付型のクラウドファンディング事業者も以前行政処分を受けているが、所謂ベストプラクティスが業界内他社とうまく共有されていない。
③貸付先で資金を焦がしたのは、上記報道にある「テクノシステム」という会社のようです(小泉さんとも仲良かったとか)。一方でSBIソーシャルレンディングの公式リリースによると、SBIグループのトップ北尾社長の側近中の側近である、SBIソーシャルレンディングの織田社長が解任、となっています。この処分自体は妥当かもしれませんが、SBIグループ、いや北尾社長としては大丈夫なのでしょうか。もしかして北尾社長への処分(もしくは辞任)へ行かないように、織田社長が身を引いたのでしょうか。
一方でちゃんと上手に、適切に事業をやっている貸付型クラウドファンディング事業者もいます!なので、ブランドネームに固執せず、透明性やトラックレコードがある事業者を自分の目で選びましょう、ということでしょう。