不祥事も再編へ後押しか?
日本に限らず、大型の銀行にはゼロ・低金利のみならず、もっと多くの規制や対応が必要となり、より向かい風が強くなっているような気がします。
銀行再編(主に日本関連)の過去投稿に関しては、下記をご確認ください。
-危機時の中銀対応、中銀政策を通じた銀行・生保リスク、銀行再編の道のり、地銀へのメッセージ、地銀再編続編、金融システムの危機時対応、菅官房長官の地銀再編、欧州でも大型銀行再編
先週大きなニュースとして取り上げられた、国際的な、著名な銀行がかかわっていたとされる、不祥事の可能性。簡潔には下記をご確認ください。
ドイツ銀行やHSBC、JPモルガン・チェースといった欧米の大手銀行が過去、詐欺師や麻薬密売者などの資金洗浄と疑われる違法な取引に手を貸していたことが、…明らかになった。その総額は2兆ドル(約210兆円)。金融機関が米財務省の資金情報機関「金融犯罪取締ネットワーク(フィンセン)」に提出した内部資料を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が中心となって分析したことから、「フィンセン文書」と呼ばれている。
大きな銀行が、経済的利益のために、コンプライアンス上適切すべき取引に目をつぶったのではないか、またこのような取引を過去数年にわたって黙認?していたのでは、というのが本疑惑のコアな問題かと。
且つそのような経済的利益を追求させたくなった要因の一つ?では、と思われているのは、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)を契機に、中央銀行が金利引き下げ、量的緩和政策を追求、というスタンスになったことで、銀行の本業である貸出が、低金利にならざる終えなかった、という現状。同時に、様々な大型銀行の再編話も、欧米で進んでいる?ようなので、今回の不祥事も新たなきっかけになってしまうのでは、かと。
稼げる貸出先がないとだけ言われているように見えますが、米銀なり米国の金融機関は全く稼げてない、わけではないです。ちゃんと個人という貸出先を見つけております。しかしリーマンショックの引き金となった住宅ローン(Mortgage)は2003年対比で40%増と自動車ローンと同じぐらいの増加率であります。一方で上記グラフのように、大学や大学院進学の際に多くの米国人が借り入れを行う、学生ローンは2003年対比で3.5倍以上の1.2兆ドル(120兆円程度!!)となっているようです。
各個人ローンの市場サイズは異なりますので、伸び率だけで何か説明できるわけではありませんが、もし来るリーマンショックのような、個人向けローンをトリガーとした金融危機イベントがあるとすると、引き金は学生ローン、というのは十分あり得ると思います。またコロナ禍で、所謂ホワイトカラーの米国の失業者もこれから増えてくるでしょうし、学生ローン返済中である30-50歳代の人々には生活や家族もいる中で、かなりの打撃かと思います。