漁夫の利でも苦労しないとね!
コロナショック後の世界激変の中、漁夫の利という言葉をよく見るな、と思いまして。ちなみに三省堂 新明解四字熟語辞典によると、「(漁夫之利)両者が争っているすきに、第三者が骨を折らずにその利益を横取りするたとえ。▽「漁夫」は漁師。「夫」は「父」とも書く。」だそうです。
前回のNoteに書いたように、米中の関係悪化を契機に、中国の半導体製造会社(中芯国際集成電路製造(SMIC)とか長江存儲科技(YMTC)ですかね?)が米国の半導体製造機械(アプライドマテリアルズとか?)を使用できなくなり、そこで韓国のサムソンにお話が回ってきた、という漁夫の利。下記は上記記事の引用です。
『サムスンが西安工場で巨額投資を続けるのも米中対立と無縁ではない。競合相手となる中国の半導体メーカーは米国製の装置を導入できず、想定通りに先端品の安定量産を実現できていない。結果的にスマホ各社は調達先としてサムスンの西安工場を頼らざるを得なくなっている。』
同様に米国から制裁を受けたファーウェイですが、今度は容認されていたと思われていたイギリスやカナダでも、米国の追加制裁もあり、制裁の対象となりそう、という話で、ここで他の欧州会社(エリクソンやノキア)が漁夫の利、というお話。
『現時点で漁夫の利を得ているのは、シェア2位のエリクソンだ。基地局市場は、ファーウェイ、エリクソン、ノキアの大手3社で8割近いシェアを占める。ファーウェイを除けば、大手で残る選択肢はエリクソンとノキアの北欧2社しかない。カナダやドイツの例を見る限り、2社の中ではエリクソンが一歩リードしている。』
2020年6月上旬に発表された、ホームセンターのアークランドサカモトによる、LIXILビバの買収。LIXILが保有するLIXILビバ(上場子会社)の53%持分を約1割のプレミアムでTOB(株式公開買い付け)に応じ、アークランドサカモトの完全子会社となる予定。この買収合戦も、複数の投資ファンドが最後に参加しなかったことで、アークランドサカモトに漁夫の利が、という話。
『交渉に携わった関係者の話を総合すると、入札の最後はアークランドサカモトとジョイフル本田というホームセンター同士の一騎打ちになったもよう。ただこの構図を最初から予想する向きは少なかった。実は有力な買い手とされていた国内外の3つの投資ファンドが、入札の最終局面で手を下ろしてしまったからだ。』
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漁夫の利と書いてあると、骨折らずして利益を得た、といった、偶然感や横取り感があるような、意味で出ていますが。私が思うに、上記三件のように、例え漁夫の利を得るためにも、従前からのポジショニング、または競合とのビジネス競争に切磋琢磨しながら生き残りを図ってきたからこそ、サムソンなりエリクソン、ノキア、またはアークランドサカモトも利益が得られそうなわけで。苦労してやっとこ得れた利益が「棚から牡丹餅」的な意味で書かれているのに違和感を感じました。なので、このような企業の「漁夫の利」はビジネスを頑張ってきた成果の一つ、と考えてあげてもよいのかな、と。またいつ良い機会が来るかわかないけど、取組続ければ、良い話もある、ということも、ビジネスの醍醐味でもあるし。