規制リスクのお話②対応の分かれ目

前回の投稿(規制リスクの大きさ)において、中国アリババ傘下のアントグループのIPO(株式上場公開)が予定の前々日(11月3日)に上場延期が決定、ということで規制リスクについて簡単に触れました。今回はその続編を書いてみたいと思います。

毎年11月11日は中国では『独身の日』とされ、特にアリババに代表されるEC大手が、独身の日セールを行い、多くの売り上げを挙げている、というのはメディアでも見られる話題かと思います。

その11月11日の前日(11月10日)に、中国の規制当局がアリババのような、ITプラットフォームビジネスへの規制指針の草案を提出した、とのニュースがありました。

時を同じくして、2020年11月10日に欧州委員会も『アマゾンが提供するオンライン市場で、出店する小売業者のデータをアマゾンが不正に利用したという』疑いから、EU競争法違反として、米アマゾンに警告を出したとのこと。

ITプラットフォーマーと呼ばれる米国ではGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)、中国ではBAT(Baido,Alibaba,Tencent)に対しては、従前から他業者の排除や、彼らのプラットフォームでビジネスをしなくてはならない中小企業の搾取(所謂利益率低下の要請)を通じた、警告が欧州委員会や米国独禁法、また中国当局から出されていました。

このような規制当局と民間企業(特にプラットフォーマー)との軋轢や認識の違いは、その企業規模や影響度合いが上がれば上がるほど、大きいものとなるでしょう。個人的な興味は、プラットフォーマーと言えどこの度は比較的規制当局の力量でどうにかなる1か国というレベルではなく、特にGAFAなどは運営が複数国にまたがっていること。また複数国に散らばる、プラットフォームを活用する消費者は、当局がどう考えようが、総じてメリットを受けている、という面でしょう。

全く話は変わりますが、以前拝見した上記ビデオで、日本のコンビニビジネスが社会インフラとなるまでは儲かっていたけど、社会インフラと見なされてからは、社会的責任が付与され、様々な規制や当局の監視が増えた、ということでした。これは通信料低下圧力を受けている通信各社(特に携帯業者)やマイナス金利に耐え続ける必要のある、銀行でも言えることでしょう。でもこれらの業種は基本的に国内市場のみ、であるからこそ、規制圧力を受けやすく、またその圧力をかわせない、という面があります。

さてITプラットフォーマーに関してはどうでしょう。私の見立てでは、もし他業種の比較がはまるとするならば、中国国内市場で守られているBATに関しては今後も規制当局対応圧力が強まるでしょうし、多国間でビジネスをしているGAFAにとってはもしかして上手く対応できる可能性がある、ということかと、簡潔に感じました。


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