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政治リスク(大国編)の影響は

政治リスク(国内編)に続き、大国で足元見られる、大手プラットフォーマーへの摘発/分断に関して取り上げてみたいと思います。

過去投稿は下記をご確認ください。

①中国では2020年のアリババ傘下のアントフィナンシャル(アントグループ)の上場延期を起点に、様々な点で所謂独禁法違反のような形で、中国のプラットフォーマー(アリババ、テンセント)などが摘発を受けている。

(中国)独禁法は年内にも改正される見通しで、罰金額の引き上げなどが注目される。M&A(合併・買収)や合弁会社設立で必要な届け出をしないなど企業結合審査違反の場合、罰金上限を現行の50万元(約860万円)から「前年度の売上高の10%」にする案が出ている。全世界売上高を示すとみられ、大企業ほど高額になる恐れがある。

中国国外にいると摘発理由があまりわかりにくい感じも受けますが、状況としては、当初安価な商品サービスを提供していたものの、巨大シェアを獲得したのちに、価格を挙げて利益をどんどん吸い上げていく、というような所謂独占的地位を乱用?しているようで。それに関連して、出前アプリの美団集団にも摘発が入るなど、プラットフォーマーの『やりすぎ』を摘まんでいるようではあります。一方で必ずしも中国政府はそのようなプラットフォーマーの分断を、というところまでは現時点では行っていない模様。

②もう一方の大国・アメリカでは、32歳という若さでFTC(米連邦取引委員会、日本でいう公正取引委員会)委員長に就いた、米コロンビア大学准教授の法学者リナ・カーン氏の意向が反映される形で、プラットフォーマーの分断が起こるのでは、と危惧されているようです。

カーン氏率いるFTCが、巨大IT企業を抑えるために、単独で新たな法律を定めようと試みるのか。…巨大IT企業に対する規制案の内容は野心的だ。当然ながら、最大の関心を集めたのは、巨大IT企業を分割する法案だった。…分割ほどドラスチックではない案としては、自社サービスの不当な優遇を禁止することが考えられる。これはカーン氏が学術研究を通して提唱してきたアプローチと似ている。同氏は特にアマゾン・ドット・コムについての研究で、アマゾンは同社プラットフォームを利用するすべての事業者に公平にサービスを提供すべきだと訴えてきた。生活に欠かせない公益事業に適用されるような、「無差別原則」が好ましいとの考えを示している。…ニューヨーク大学経済学教授のニコラス・エコノミデス氏によると、米政界は巨大IT企業を抑えることについて総論として賛成かもしれないが、法制化については意見がバラバラだという。そのため、バイデン政権が現行法の下で手っ取り早い対策を講じる可能性が高くなるとしている。

巨大プラットフォーマーを創造できる土台を養ってきた両国ですが、ここになってそのプラットフォーマーが強力すぎることから、分断・摘発の方向へ向いているとのこと。米国では1911年に当時市場をトラストで独占していたスタンダードオイル社への分断命令に似ているように感じる。いつの時代も少数の民間企業が力を持ちすぎると政治リスクが常に付きまとう、ということだろうか。

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