電力市場の開放ってどうなの?
2011年3月の東日本大震災に絡んだ福島原発事故や、東電など大手電力会社の改革の意味もあり、2016年4月に始まった電力の小売り自由化も、早4年が経過。皆様は既に電力会社の新プランや新電力(ガス会社や携帯、ケーブル、ネット会社等々)に乗り換えましたかね?
市場の自由化(特に小売り自由化)により、価格低下を通して消費者が恩恵を受ける、という経済理論っぽい期待は、どうも思うように進んでいない、というのが今日のお話で。
理由は複数あるみたいですが、上記記事を読むとこんな感じにまとまる。
①ポイント付与や基本使用料無料など、様々なプランが各社乱立しており、価格体系が分かりにくくなっている(特に統一化の方向もない)
②例え小売り電力の値下げとなっても、3-4割下がる、ということではなく、大体3-5%程度とコスト軽減メリットを消費者が感じにくい
③大手電力会社と違い、基本的に発電所を持たない新電力の電力調達に活用されている卸電力市場の価格変動リスクが大きく、猛暑の際には調達価格が高騰。でもコロナ自粛期間は0円調達だったとか。なので、新電力の安定的な運営が難しい
④卸電力市場の制度設計において、必ずしも新電力が調達したいと思う安価な電力価格での市場提供が大手電力会社からなされていない(という憶測も含めた不備)
海外での電力小売り自由化の動向についても、この日経記事にあるように、狙い通りには進んでいない模様。
『ドイツで家庭向け電力料金が下がったのは電力小売りが自由化された98年から最初の2年だけで、その後は上昇基調だ。』
欧州電力市場と異なり、島国日本においては、他国からの電力供給とかはないのだが、尚更国内での電力市場の話、具体的には原子力発電を含めた今後のエネルギー政策を広く議論していくべきだろう。しかし、多くのステークホルダーが存在し、また投資や修繕など大きな決定となる為、たとえ失敗しても方針変更はかなり難しい、ともいえる。加えて、地球温暖化対策での再生可能エネルギーの存在(これ以上太陽光発電は増やせないけど、風力?特に洋上風力?)についても、台風や雪崩、災害時に対応も含めて、包括的に考えないといけない。またこの手の議論は、税金と似ていて、国全体にとって良いことかもしれないが、話題を持ち出すと不利益を被る可能性のほうが高い、と思われているトピックでもある。この解決策を見出さない解決は、あとどれくらい辛抱できるのだろうか。
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