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過去投稿からの進化・変化㊱ロシア事業のリスクと代償が現実化

『過去投稿からの進化・変化』シリーズで、今回はロシアによるウクライナ侵攻後の、所謂西側諸国の企業によるロシア事業の撤退についてです。過去の関連投稿は下記をご確認ください。

ロシアで大きな輸出の一つである、LNG(液化天然ガス)。そのプロジェクトから撤退を、西側企業が模索しているが、難航している模様。

シェルはサハリン2で約27・5%の権益を保有しており、プラントの操業でも中心的な役割を果たしているが、ロシアのウクライナへの侵攻を受けて撤退する方針を表明している。サハリン2には三井物産三菱商事が出資しているほか、日本の電力・ガス会社が長期契約で液化天然ガス(LNG)を調達している。国営ガスプロムが最大株主で、約50%を保有している。LNGの年産能力は約1000万トンで、うち5~6割を日本が輸入。大消費地の北東アジアにLNG運搬船が数日で到達でき、米国やカタールに比べて大幅に近いという利点がある。シェルが権益売却を模索する一方、日本企業の撤退論については、日本国内で慎重な意見が出ている。

日経電子版

他方撤退を決めた、西側企業は数千億程度の減損を計上した模様。

エクソンのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は…「サハリン1のオペレーション(操業)を止めようとしている」と話し、34億ドルの損失を計上した…すでにサハリン1からの撤退を表明していたが、30%保有する権益の譲渡先は未定のようだ。…世界最大の石油メジャーにとっては小さい事業かもしれないが、資源小国の日本にとっては一大プロジェクトだ。…サハリン1は05年に生産を開始し、21年には日量約20万バレルの生産量があった。エクソンのほか、日本勢はサハリン石油ガス開発(東京・港)を通じて30%の権益を持つ。…日ロ協力の象徴的な案件だったアークティック2についても、トタルが4月28日に損失の計上を発表した。…ロシア事業の損失額は41億ドルで大半をアークティック2が占める。アークティック2にはロシアのガス大手ノバテクが60%を出資。トタルが10%、三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が計10%、中国勢が計20%を出資する。

日経電子版

石油ガスではないものの、日本でロシア関連株として有名なJT(日本たばこ)は、主力のロシア事業撤退を模索しているとのこと。

同社はロシアのたばこ市場で4割近いシェアをもつが、「事態の長期化などで、当社グループによる安定的かつ持続的な事業運営に著しい支障が生じる蓋然性を踏まえた」

日経電子版

日本企業にとっても、ロシア事業の撤退時期は思ったより早く来ているようで、その代償もそれなり高額になるが、金額を含めた事業リスクをどう判断するか、経営者の判断が迫られていると感じる。


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