欧州でも大型銀行再編へ
2020年9月16日に菅新首相が誕生という運びになりそうですが、菅新首相の目指す政策の一つとみられる、日本では地銀再編も少し話題になりました。また銀行という業種は、欧州でも再編へ向かっているようです。
銀行再編(主に日本関連)の過去投稿に関しては、下記をご確認ください。
-危機時の中銀対応、中銀政策を通じた銀行・生保リスク、銀行再編の道のり、地銀へのメッセージ、地銀再編続編、金融システムの危機時対応、菅官房長官の地銀再編
9月に入り、まずスペインの大手銀行カイシャバンクとバンキアの2行が統合検討に入り(2020年9月2日付)、2010年の欧州危機後にスペイン政府がバンキアの救済措置を取って大株主となっているが、その政府も統合を後押ししているとのこと。スペイン国内にサンタンデールやBBVAなど競合も含めて10行以上銀行があり、政府も統合後押し、とのことで本件は進みそうな気がしますね。
そしてスイスでは、UBSとクレディスイスが合併可能性を模索(2020年9月14日付)とのニュースが流れ、依然として合併の初期段階のようですが、早ければ2021年初めの合意を目指す、とのこと。またスイス当局が合併承認しなれば、ドイツ・フランクフルトに拠点を移す、とかいう話も出ています。
『関係者によると、UBSはこの可能性をコンサルタントらと探っているが、取締役会のレベルで提起されたことはない。合併実現性の調査は社内の定期的な計画業務の一部で、両行の間で正式な議論が現在進行していることはないと、非公表の情報だとして匿名を要請した関係者が語った。』
思い出せば2019年4月ごろにドイツ銀行とコメルツバンクの合併交渉破綻から、ドイツ銀行はどうなるのか、という話もありましたが、その後は未だに大きなネガティブニュースは聞こえてきませんね。
上記3つの大型銀行の合併交渉ですが、全て欧州の各国内での銀行再編にフォーカスしている面が大きそうですね(UBSとクレディスイスはもっとグローバルな側面もあるとは思いますが)。日本や欧州など間接金融(銀行からの融資による資金供給)が大きかった地域は所謂Overbanking(銀行の数が多い)状態になっていることから、まずは国内で再編へ、といった道に向かっているのかと思います。あ、直接金融(市場で資金供給・調達)がメインのアメリカで既に多くない銀行数の中でも、2019年初めのBB&Tとサントラストの合併のように、再編が進んでますね。。