見出し画像

「本を囲んだ語り部屋」2024/11/10松波龍源さん『ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
11/10は松波龍源さんの『ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考』を取り上げました!

起業家など在家の有志たちとともに実験寺院である「寳幢寺」を京都に建て、仏教という思想の本来の姿を取り戻すべく活動している松波龍源さん。タイトルに「仏教思考」とあるように、この本では仏教を哲学、思考の側面からとらえて、現代を生きる私たちの悩みに答えてくれています。仏教哲学の根底は非常にロジカルで科学的であることを知り、先人が思考を研ぎ澄ませた先にたどり着いた世界観には驚かされます。

語り部屋の冒頭では、こちらの本で紹介されている思考に関して理解を深めていきました。例えば、仏教では「輪廻転生」という考え方がありますが、こちらの本ではゲーム理論における「囚人のジレンマ」につなげて、ロジカルで科学的であることを解説してくれています。人生が無限に繰り返されると考える方が、自己と他者の利益を等しく考えて協力し妥協点を見つける戦略的行動につながるという指摘は驚きでした。個人も社会もうまくいくために、どのように世界を捉えた方が良いかを考え説いているのが仏教哲学だと感じました。

そして「空」や「唯識」の思想についても語り合いながら共有しました。「空」は「ないものがない」ことを指し、故に「すべての可能性が存在している」という考え方だと言います。そして「唯識」は「世界は『私」の認識があって初めて成り立つ」という考え方です。仏教哲学においては、目の前のものごとは絶対的ではなく無限の可能性があると言い、ゆえに、生きる上での苦しみに対しても自分でコントロールできる余地があることを教えてくれているという点は非常に印象的でした。

後半では、相対化して物事を捉えることの大切さをみんなで語り合いました。現代を生きている私たちは、無意識的に時代の中で引き継がれてきた価値観がインストールされており、西洋哲学的考え方が大きく影響していることを感じます。普段はなかなか無意識の中にあるものを顕在化させることは難しいですが、この本に書かれている仏教思考を通じて、気づいていなかった世界の捉え方に出会うことができるような気がしました。

龍源さんはご自身のことを「学者ではなく実践者」であると言われていますが、まさに一人ひとりがいまを生きる「実践者」であると感じました。自分が捉えている世界を1つの可能性と考えると、他にはどんな捉え方があり得るのかという好奇心が湧いてきます。こういう揺さぶられる本との出会いがあるから人生は面白いですねー!!


いいなと思ったら応援しよう!