「本を囲んだ語り部屋」2024/6/23鈴木郁子さん『自律神経の科学』
日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
6/23は鈴木郁子さんの『自律神経の科学』を取り上げました!!
自律神経の重要性はみな知っていますが、科学的な根拠を持って説明できる人は少ないかもしれません。本書は生理学を専門とする著者が医学部の学生に向けて行ってきた自律神経系の講義録をもとに構成されています。自律神経を知ることで、「当たり前」と思われているような生活習慣がなぜ大切なのかが見えてくるというflier要約者の紹介にはうなずきました。
自律神経は、身体の内側の環境をある一定の状態に保つための仕組みです。交感神経と副交感神経の「二重支配」と「拮抗支配」によって、常に変化する身体に対応して巧妙な微調整をし続けています。「二重支配」とはひとつの臓器に交感神経と副交感神経がつながっていることを表し。「拮抗支配」とはそれぞれの神経の相反する作用を表します。複雑な自律神経のメカニズムを知ることで、身体の本来持っている知恵を活かすことができるかもしれません。
語り部屋の冒頭では、自律神経を整えるための習慣について語り合いました。こちらの本でも自律神経から考える「心身を整える方法」が書かれています。その中では自分の意志で自律神経を調整することの大切さが書かれていました。交感神経を休めるためにはゆっくりと休むことが大切であったり、逆に交感神経を促すためには歩いてみるなど、1つ1つは決して難しいことではないように思います。であるにも関わらず、多くの場面では逆のことをしてしまっていることを振り返りました。スマートフォンアプリなどではいかにユーザーのインテンションを高めるためのテクノロジーが進展していますが、持続的な人間のあり方を考えれば身体への影響を考えたやさしさを持ったサービスやテクノロジーにしていくべきではないかというモデレータ仲間からの指摘は印象的でした。
また人と人同士が影響を与え合っているという点でも語り合いました。自分ひとりの自律神経を整えることは、他者の自律神経を整えることにもつながるのではないかという話をしながら、場のモードチェンジの大切さについて考えました。メンタリングでは「メンターの帽子をかぶる」ことを意識して、相手にとって、自分にとって意味のある場になるようにモードチェンジをすることが重要だという話がありました。問題解決モードであった自分を共感モードに変えていくためには一息置くことがポイントという話もあり、場を変えるための呼吸の力を感じることができました。
そして自律神経には3つのモードがあることが分かってきたという話も印象的でした。副交感神経はリラックスモードと言われることが多いですが、実は腹側がリラックスモードであるのに対して、背中側はフリーズモードであり感じないようにさせる作用があるということでした。これは副交感神経が高まりすぎた場合の生存戦略としてのモードであり、行き過ぎると鬱的な症状にもつながってしまうとのことでした。ストレスに対しては副交感神経を高めることに意識がいきがちですが、一方で運動などによって交感神経を活性化することも大切だと本書には書かれており、改めて身体にとって適度な望ましい刺激を作ることの重要性を感じました。
心と身体をつなげている自律神経、改めて日々意識的に鍛えていきたいと感じる学びの多い時間でした!
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