Yasushi Kaneko
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竹松早智子評 エミリア・エリサベト・ラハティ『「弱いまま」で働く――やさしさから始める小さなリーダーシップ論』(古賀祥子訳、KADOKAWA)
「やさしさの力」によって導かれる世界 ストレスはたまる一方で、大半の人たちにとって世の中は生きづらいまま――この悪循環から抜け出すことはできるのだろうか 竹松早智子 「弱いまま」で働く――やさしさから始める小さなリーダーシップ論 エミリア・エリサベト・ラハティ 著、古賀祥子 訳 KADOKAWA ■社会で生きていくためには強くあらねばならない。そう考えている人は多いだろう。この場合の強さには、「厳しさ」を伴うことがほとんどだ。食事や睡眠の時間を削って休みなく働き、ミスなく
品川暁子評 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『止まった時計』(夏来健次 訳、国書刊行会)ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション 1
かつて一世風靡した美人女優を襲ったのは誰か?――犯人が判明したあと衝撃の真相が明るみに 品川暁子 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション <br>止まった時計 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ 著、夏来健次 訳 国書刊行会 ■ワシントンDCの閑静な住宅街、女性は自宅で何者かに襲われ、重傷を負っていた。犯人が殺し損ねたことに気づいて戻ってくることを恐れ、電話で助けを求めようとするが、もうほとんど力が残っておらず、意識も朦朧としている。現在はニーナ・スロークと名乗
永田和男評 ステファニー・グリシャム『ネクスト・クエスチョン?――トランプのホワイトハウスで起きたこと』(熊木信太郎訳、論創社)
元側近が吐露するトランプ夫妻との愛憎とホワイトハウスの日々――自分だけが中心というトランプ氏の性格を浮き彫りにしている 永田和男 ネクスト・クエスチョン?――トランプのホワイトハウスで起きたこと ステファニー・グリシャム 著、熊木信太郎 訳 論創社 ■本書の帯に「トランプは大統領に返り咲くにふさわしい人間か?」とあるが、著者ステファニー・グリシャム氏(元ホワイトハウス報道官兼広報部長)の答えは「ノー」だろう。なにしろ本人は今年八月にシカゴで開かれた民主党全国大会で演説し、
吉田遼平評 フレッド・シャーメン『宇宙開発の思想史――ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで』(ないとうふみこ訳、作品社)
宇宙を目指す「われわれ」の過去、現在、そして未来――宇宙開発が転換期を迎えている現在、一つの「碑」のような書 吉田遼平 宇宙開発の思想史――ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで フレッド・シャーメン 著、ないとうふみこ 訳 作品社 ■一九六九年の夏、人類がはじめて月を歩いた。「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」というニール・アームストロングの言葉とともに、人類の長年の夢が実現し、その栄光の瞬間は歴史に刻まれた。一方でそこに至るまでの過程で生