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【詩】ひもひもわーるど

ふしぎな背中を見ました

なにかが落下したみたいです

それは悲しそうな背中でした

私は考えていました

あの日私は

脳内のヒモが
ぜんぶほどけて
有限か無限かわからない
あたまの中の空間に

ほどけて消えました

それはなんだか
スッキリしたような
腑に落ちないような
とにかくふしぎな

でも

でも


時にはそんな
人の起こす強制により
ヒモという名の【 前提 】が


  ラ

      バ ラ に

溶けて 消えてしまえばいいのに

そうしたら

らくになれるのに


前提も そう
それと 未来

たくさんのヒモが 時間をこえて のびて 絡まる

あの背中もきっと
神経や細胞と一体化したヒモが
ほどけてしまったんだろう

こんな高いところから落としたら

もう かえってこないよ?


わたしたちは また
身体をささえる
糸を じぶんで
つくって
身を切るようなおもいで
つくって
つくって
つくって

つくって

それで編んだ【 想像 】いう名のヒモに
縋るしかないんだよ?

ほら おいで 抱きしめてあげる

……知ってる 私の手も 震えてるんだ

ずいぶん高かったからね


でもこれでおしまい

あなたは 自分のヒモで立たなきゃいけない
もう 私なんかに縋らないで

『いってらっしゃい』

未来はそりゃあ……暗いよ

その去る背中を ぼんやりと見つめていると
うっすら うっすらと
頼りない【 ヒモ 】が

私の足元に伸びていた

私は強く引っ張らないように 誓いながら

とてもとても小さく 手を振りました

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