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Photo by
ibaraki_nakai
【詩】この世界
この世界に
表現すべきモノなどあるのだろうか
解釈や琴線を通して
虚像を拵える
イデアの泉から
両の手で水掬い
薄めてひろげる
それをただ繰り返す
普遍の存在を信じて
要請があるから
私は動いているのか
誰ひとり居ない世界で
『おはよう』 と
言うだろうか
内なる衝動 情熱 虚無
漂う 時計の針盲目の時間
くらやみシグナルの虹色向こうから
打ち砕かれたモザイクに顔隠されたニンゲンが
直立不動のままうかがい知れぬ表情のまま
こちらに向かう
生命だ
人の資源 用意されてたペン
浜辺に放置 されてた壜に
冷たい岩の上で書いてたメッセージ詰め
流す
届いても 読み解けまいね
誰からの要請もない 滲んだ字など
膝を折って 感嘆するには
私の世界など
社会性に富んだ若者の前には
あまりに脆いのだ
壜を磨いてしまおうか
若者よ この壜は誰が作った
何が入っていた
人の無様が この地に流れ着くだろうが
皮肉にも生命の足跡が 内側にこびりつく
私が持ち上げ
日光に照らしたのだ
静かに脈動する
壜に潜むひとつの生命を
それは罪だったのか
遠浅のぬかるみに
景気良くドプンと沈む頃には
考えるのをやめていた
蜃気楼の巨船に
小さく手を振った