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Photo by
inagakijunya
【詩】ふぉーまるな屋上
巨大建造物は誰かひとりの願いですか?
こんなスクリーンの中から人の気配が視界の隅に映るたびに
私はいちいち首をかたむけた
誰かの存在の中でひとりなんだなって勘違いして時間がどんどん過ぎていって聞いてみたい
あなたは孤独をかんじていますか って
って
ねぇ
この屋上に時々訪れる小鳥の群れは抵抗なく見れるのにどうして人間?
山の先っぽと他はぜんぶ灰色の建造物なのにこの間すれ違った人が建てたかもしれないよ?
爪を噛む癖やめろって言ったよね?
だって私はひとりで
動かないから
この屋上の車も
一向に動かないから
自分の世界にいるようで
ほんとは怯えて人間が
通るごとに
ほんの
ほんの少しだけ安心して
無機質な白黒ふぉーまるはどこへ向かうの
うたを歌いながら近づいたら友達になれるかな?
そんな勇気も
平日のコンクリートこの下には
いつも出会わない人々が
私と同じく時間を気にして
さも気にしていないかのように
不自然に熱い紙カップのコーヒーを
薄汚れたベンチですするんだ
同じく安っぽい油の匂いが空に溶けて
誰かの想像の種になり
星にのぼる建造物は
汚いプランクトンのジュース一緒に飲も
色のない目の合わない笑顔が
つまらない未来へ向く証明に
読めない心の手の先の100えんが
その横顔に鈍い光を照らしながら
吸い込まれていく硬貨
退屈すら忘れ踵を返すその背中に
私もまた背中を向けて
寂しさの思い出し方すら忘れて
無感情の灰色だけがあった
それは深海のまっくらやみより
比較してぜんぜん冷たかった
ひとの気も知らないで
いつもよりずっと