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Photo by
doschan123
【詩】ミリヤ・スピヤド
その部屋は体液で満ちていた
『これは一生分のモノを先に出しているのだと今は解釈しています』
主は歪んだ欲望が満たされないまま世を去った
ミリヤは【 せい 】に傷を負ったまま
癒す術なく墓前を後にした
十
「14歳の誕生日 おめでとうございます」
ボクはあの日 身体の異常に気がついた
館の外には野生動物がいるばかりで
誰にも相談できなかった
もし友達ができたら
擦り切れるほど抱きしめたかった
そんな衝動を抱えていた
引きずるように 暗い廊下を歩いた
叉
勉強はぜんぶ諦めた
お供えの花が枯れ
風に飛ばされたあの日
ポタポタって
冷たい石を濡らした
徐々に広がる染みを 意味を
執事に問うたが
その表情はうかがい知れなかった
罔
随分と身体の線が細くなった
ボクはみっつめだったらしい
好き放題しやがって
…
部屋の窓から野良猫が見えた
すぐにボクの体液でガラスは濡れた
たくさん分泌されると疲れるんだ
外へ続くホースに
いっぱい流した
區
DAY1.日記をつけることにした
DAY2.特に何もなかった
DAY3.時計が壊れた 誰もこなかった
DAY4.ホースが詰まって体液が逆流してきた
DAY5.特別に庭へ出してもらえた 野良猫は見つけられなかった
DAY6.少しだけ良い気分だった
DAY7.気持ちよかった
迪
主の墓に背中をあずけて空を眺めていた
時折自分の身体をさわってみる
沈むようにボクは眼を閉じた
隣村の老夫婦が
見知らぬ少女を見たという
とうに目的を忘れたかのような瞳で
最愛を意味する花を摘んでいた