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窓辺からながしこんで【詩】

あみあみになった通過可能神経の間をすっかり寒くなった秋の気配の風が通って脳までながしこまれてくる

その隙間をぎゅって締めたり反対に開いたりすると私はぜんぜん違う感覚を受け取ります

色がてんめつして光が交互する度に増幅する踏切の🟥のように音もまた他の五感を磨り潰して埋められて迫ってくる

ヒモのように神経ぜんぶバラバラにして私を価値のないゴミのように丸めて無造作に捨ててください

反対に今度は大事に大事に拾い上げて様々が付着した私を清潔な布で気がすむまで拭いてください

大勢がたくさん四方の窓から剥ぎ取られたカーテンをいいことにドンドン叩いて割れそう

鋭く光る好奇の眼を24時間寸分違わず浴びて浴びてとっくに瓦解したプライバシーの感覚が変換され鈍い痺れに支配されて

分裂不可能プラナリアの私は白く濁った液体のガラスケースの中でぐちゃぐちゃにされて方向感覚

阻害的トランジション
区画整理インタラクティブ

今日もまた降り注ぐ液体 腐敗しかかる棒に支えられた透明四面体 溢れ出し循環して何度も使い回される血液に似た体液 定期的に投入される漂白剤だけが唯一の安らぎ しかしすぐ縋る手と手と手が伸びてきて私の身体を撫で回して逆撫でされる神経 いっぱい笑い疲れて頭がジーンとなってやっと襲ってきた眠気をにじるようにけたたましい踏切の🟥

カン カン カン カン

と明滅すると割れそうな頭痛が襲ってきてまた液体が降り注いで満たされて溢れて手が伸びて

白濁の翻弄の最中

伸びる手の持ち主のひとりの少女が

羨望の冷たい眼差しを

四面体の周囲にこぼれおちた

あの液体を退屈そうに

ぴちょぴちょと踏みながら

時々向けてきました

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