第105回:政策の優先順位を変える!「議連」のパワー活用法
1. 街の本屋を元気にしよう!その取り組みも「議連」から
2024年3月、経済産業省が大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を設置し、全国で減少する街の書店について、初の本格的支援に乗り出したことをご存知でしょうか?
報道によれば、プロジェクトチームは映画や音楽、文芸などを扱うコンテンツ産業課に事務局を置き、キャッシュレス決済の推進や中小企業支援を担当する部署も参加して部局横断型で事業内容の議論や調査を進めるのこと。 (読売新聞オンライン・2024年3月5日掲載記事より)
確かに近年、アマゾン等のネット書店での購入が増え、街の本屋が減っています。でも本屋は、ただ本を買うだけでなく、いわば「文化の中継地」という機能も果たしていますよね。その存続を、何らかの政策で後押ししていくというのは意義がありそうです。
実は、この政策のひとつのきっかけとなったのが、今日のテーマ「議員連盟(議連)」なのです。
その名も「街の本屋さんを元気にして、⽇本の⽂化を守る議員連盟」。
2017年の3月に「全国の書店経営者を支える議員連盟」として自民党の議員により設立され、その後、現在の名前となり、参加議員は145人まで増加。
2022年に行われた議連の総会には、議員だけでなく、日本書店商業組合連合会の会長が参加するなどして話し合いが行われました。
そして2023年4月に、第一次の提言を作成・公表し、経産省・財務省・文科省・公正取引委員会などに対する要望(※)を行いました。その提言がひとつのきっかけとなって、冒頭の経産省の動きが生まれたと考えられるのです。
※ 街の本屋さんを元気にして、⽇本の⽂化を守る議員連盟 第⼀次提⾔
2. 議連は政策の優先順位を変えるために重要
このように議連は、政策の優先順位を変える力を持っています。
ただ意外なことに、例えば「自民党の議連」であっても、党が公認した正式な組織というわけでもありません。一つの政党の議員が集まってつくられるものもありますが、野党も与党も入りまじり、様々な党の議員が入って作られることもあります。
議員が個人の判断で結成し、加入も本人の意思に任せられる、いわば「勝手連」的な性格を持っています。
政府や政党の正式な組織でもないのに、なぜ議連は政策の優先順位を変える力を持っているのでしょうか?
そこが理解できると、この枠組みを活かして民間から政策への影響を及ぼすコツも見えてきます。
今回は、議連とはどんな存在なのか?そこに民間から働きかけるためには、どのような方法があるのか?働きかけるのに適切なスケジュールは?といった点について解説していきます
(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)
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