偉大なる母の容姿を思わせる箱根神社の「安産杉」

 芦ノ湖のそばに鎮まる神奈川県足柄下郡の箱根神社には、独特の雰囲気が漂っている。神域に向う参道の杉並木をはじめ、境内には平安時代、坂上田村麻呂が参拝し、弓を捧げたと伝えられる「矢立杉」など、樹齢約1200年を重ねる御神木もある。
 中でも箱根神社の本殿東南にある「安産杉」は、特筆すべきご神木だ。
 鎌倉幕府幕府を開いた源頼朝と妻・政子が子宝を祈願して、‌無事に授かったことから「安産杉」の名があるといわれ、今も安産を祈る多くの人々が「九頭龍神社」新宮前の龍神水脇の門をくぐった場所にそびえ立つこのご神木に引き寄せられている。

 根元に大きな洞を持つ安産杉、このご神木の大きな‌洞からは、生命を産み出す神秘な力が湧き上がっている気がする。生命は人智を超えた大きな力を得て誕生するが、このご神木を目の前にすると、母なる大地の力強さを感じる。この洞は目に見えない大きな力を悟る入口なのかも知れない。

神奈川・箱根神社 安産杉

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