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かぞくのかたち ⑤ 〜 ホンダのトゥデイ 〜

姉貴とオカンが、車の免許を一緒に取りに行く話を書こうと思う。

僕が中学生の頃、チェッカーズの解散で落ち込んでいた時に、オカンが、

「初ドライブに行くけん、付いてきて」

と死ぬほど恐ろしい目にあった。おかげでくよくよしている自分が、バカらしくなった思い出がある。

話を戻そう。オカンは姉貴と新聞配達をして貯めたお金で、共に自動車教習所へ通うことにした。

高校まで剣道で鍛え、18歳になったばかりの姉貴と、当時40代のオカンでは比べるまでもない。

反射神経というか、運動能力がものをいう運転教習で、オカンはかなり苦戦した。
そして実地の教習を落とす度に、

「ほなけん、アンタはとろいんや」

と親父の激怒は止まらなかった。
家で嵐のように怒り狂う、彼の癇癪を見ながら僕は、

「オカン頑張れ!」

と子供心に応援した。
そうして、オカンは念願の運転免許を、40代半ばで取得する。しかし、免許を取って数年はペーパードライバーの状態が続いた。

僕が高校を卒業し、更に4年後、弟も神戸の大学に進学する辺りから、オカンは中古の軽四を与えられた。祖父母の病院への送り迎えと親父の飲み会の送迎が主だったようだ。

今思い出したのだが、姉貴がアメリカに行くので、要らなくなった軽四の車を20年近く使っていたような気がする。

姉貴も高校を卒業して、6年間乗っていたとしたら、それは四半世紀に渡り、家族と共に過ごすという、大変お世話になった車である。


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