家族のカタチ ③ 〜 血だらけの少年 〜
正月早々、左眼の上を6針縫った話を書こうと思う。
元旦は、親父の実家近くにある神社に、参拝して、お墓参りするのが家族の恒例行事であった。
この神社は、境内に滑り台と、シーソーが2台あり、初詣での後、姉貴と僕、6歳になる弟と遊んでいた。
「シーソーであーそーぼ」
と姉貴と僕が遊んでいると、弟は隣のシーソー脇に、なんと立ち小便をやりだした。僕は怒って、
「こんな所で小便などするな」
とシーソーから飛び降りた。
して、小便の痕を消す為、周りの土をかき集め、それを掛けようと屈んだ瞬間、目から星が飛び散り、もの凄い衝撃を受けた。
「ドッカーン!」
よりによって僕が土を掛けていた、隣のシーソーに、姉貴と弟が乗って遊ぶという惨事になる。
姉貴が勢いよく乗ったシーソーの、反対側の角が僕の顔面に激突し、目の上を陥没させた。
「キャーーー」
と姉貴は僕の顔を見て絶叫する。
しかし、息子が眼の上を陥没させ、顔面血だらけの状態でも、親父は全員を連れ、まずはお墓参り。ここで彼は珍しく癇癪を起こさなかった。
さらに母方のお墓まで皆で行き、お墓掃除と線香をあげて、ようやく僕の治療へと病院に連れて行ってくれた。お医者さんに
「だいぶ傷口が、乾いてきてますな」
と言われながら、左眼の上を6針縫って、ようやく血は治まった。
さぞご先祖様は正月にやってきた、血だらけで、お化けみたいな顔をした少年を憐れんでくれたことであろう。
続