脳と相性のよい行動計画の立て方
今回は「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」の「第2章 目標達成への行動計画をつくる」というテーマを取り上げます。
脳と相性のよい行動計画の立て方
本書では実行性を高めるための行動計画のコツとして「if-thenプランニング」という手法を紹介しています。
(if)もしある状態になったら(then)これをやる
という形で行動計画を定めましょうという手法です。
「運動習慣化したい」という目標を漠然と目指す人と、この手法を使って
①(if)もし月曜日、水曜日、金曜日になったら
②(then)仕事の前にジムで1時間汗を流す
という計画を立てた人たち。実験の結果は予想通り、この手法で計画を立てた人たちの達成率が、漠然と目標を目指す人に比べて圧倒的だったそうです。
その根拠として、脳がこのif-thenというパターン、つまり「XならYをする」という文章を記憶しやすいからだという説明もありました。if-thenはどのプログラミング言語にも必ず登場するぐらい論理構造の基本中の基本であり、論理の塊である脳の構造にも相性が良いのはうなずけます。
「if-thenプランニング」を部下の指導で活用する際の3つのポイント
実際部下を指導する場合、この「if-thenプランニング」をどう活用すればよいでしょうか?私が考える実践のコツは以下の3点です。
1.(then)で定義する行動は、できるだけシンプルかつ明確にする
2.(if)条件をカレンダーに登録する
3.(if)のタイミングで本当に行動できたか確認できる仕組みを用意する
以下それぞれ解説します。
1.(then)で定義する行動は、できるだけシンプルかつ明確にする
例えば「月曜日の15時になったら「提案書を書く」」という「if-thenプランニング」があったとします。
ただ「提案書を書く」というタスクは実際には大きすぎて、具体的に何から始めてよいかわかりません。過去の議事録を読み直す、類似事例を探す、アウトラインを考える、目次を考える、同僚とブレストするなど具体的な作業やアクションの形として定義しておきましょう。
なかなか行動が伴わない部下の状況を聞くと、正直ここができていないケースが結構多いです。自身についても滞留したままの目標に関しては、次のアクションが分解できていないことが多い気がします。
部下の「if-thenプランニング」をチェックする場合は、まずは「実作業ベースで次は何をやるのか?」が明確になっているのか確認しましょう。
2.(if)条件をカレンダーに登録する
個人のダイエットなどは別として、仕事で「if-thenプランニング」を行う場合は、(if)の発動条件はできるだけ他人にも可視化できる状態にしておくと効果的です。特に部下の目標達成力を育成中の場合は、この可視化を強制化しておくのも一つの手です。今はどのチーム/職場でも共有カレンダーを利用しているケースがほとんどだと思いますので、そこに書き込むとよいでしょう。チケット管理ツールを使っている場合は、作業ベースにチケット化し作業予定を設定させる形でもOKです。
仕事の納期だけをカレンダー登録している人はいますが、特に計画的実行力が身に付くまではそれでは不十分です。実際にそのタスクをどういう段取りでいつやるのかまでを確認してあげましょう。
3.(if)のタイミングで本当に行動できたか確認できる仕組みを用意する
他の多くの手法と同様に、実際に実行できなくては全く意味ありません。
習慣的なタスクも時限的なプロジェクト的タスクも、せっかく立てた「if-thenプランニング」が本当に実行できたかどうかをチェックすることは重要です。部下を育成する上でここが勘所になるので、この一手間を怠らないように注意しましょう。
①結果の共有
例:毎日体重を計るなら、体重を毎日記録したシートを自分以外にも共有したり、日々誰かに結果をシェアする
②定点観測
例:週次の1on1で実行結果を毎回話すようにしたり、週報で記載する
上司から指示の場合は、部下から自発的に定期報告があるのがしかるべきですが、おそらく指導が必要である時点でそれが期待できないことも多いでしょう。目標達成力が高まるまでは、上司側から意識的に実行状況を確認するようにしましょう。
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