泰阜村の良さを、村の人にこそ伝えたい
村民インタビュー第7弾は、かつて地域おこし協力隊として泰阜村で活動していた小黒あかりさんです。
協力隊時代
―――あかりさんは泰阜村で地域おこし協力隊として活動していたんですよね。
あかりさん:はい。大学を出て10年くらい小学校で働いた後、泰阜村で地域おこし協力隊募集があるのを見つけて、2016年から。
―――泰阜村のことはご存じだったんですか。
あかりさん:大学の頃にキャンプのボランティアで来たことがあって、当時の村長や村の方々とも出会い、「面白い村だな」って思っていたの。
―――そうだったんですね。協力隊になってからはどんなことを?
あかりさん:その頃は今のように詳しく決まったミッションはなくて、前職が小学校教諭だったこともあって「子育て関係でやってほしい。最初の一年間、保育所や小学校を含めた村の中の色々なところを見た上で、あったらいいなと思うことをやってほしい」と当時の副村長 (現村長) から言われました。
村を色々見る中で課題だと思ったことの1つが「世代交代」のこと。村にたくさんあるイベントや取り組みのほとんどが、60代以上の人たちが立ち上げて続いてきたもの。これからを担う50代以下の人たちも、一緒にやってはいるけれど主体的にその活動の中心を担っている人はほとんどいない。山や田畑の整備も含めて、今、中心でやっている人たちが出来なくなった後、村はどうなるのだろう?と思った。
そこで、村のこれからを担う世代の人たちでこれからの泰阜村について考える研修旅行を企画したの。
課題に感じたことのもう1つは、村の人たちが泰阜村の良さやその価値をあまりわかっていないこと。私は泰阜村ってすごく素敵な村だなって思っていて、その魅力的なところが残っていってほしいなと思うけれど、村の人たちはその良さにあまり気づいていない。だから、うっかりするとなくなっちゃうよなと思った。
「(今ある村の暮らしは)素敵だよ、価値のあるものだよ」っていうことを伝えるのも外から来た者の役割かなって。
そこで、見える化したいと思って泰阜村の教育・子育てパンフレットを作ったの。村の価値を村の人に伝えるのが一番の目的。それにプラスして、村外の人にも見てもらって、その魅力を伝えられたらと思う。その中で「泰阜村っていいな」と思った人が来てくれたら、それもいいなって思う。
定住の決め手
―――協力隊が終わって、定住した決め手は何ですか。
あかりさん:うーん、今も、「定住」なのかな?(笑)
協力隊が終わったときに、「まだ泰阜にいたいな、いろいろできると面白いな」って思って、ちょうど声もかけてもらったので残った。
その時も今も、「今いたい所にいる」という感じ。
畑も出来るし、村の人たちとの関わりも楽しいし、キャンプや川遊びも出来る。ここが自分に合っていて居心地がいいなって感じている。雪好きの私としては、雪があまり降らないことだけが残念だけど。(笑)
―――泰阜村の居心地の良さの、一番の要因ってなんだと思いますか?
あかりさん:「人」。泰阜村の人たちはとてもあたたかい。「外から来た者」もあたたかく受け入れてくれる。
他の地域では、なかなか受け入れてもらえないという話や、この土地に住むならこうせねばならないみたいなのが強いという話も聞いたことがある。私は、協力隊だったこともあるかもしれないけれど、みなさん温かく迎えてくださり、困ることもほとんどなかった。
顔が見える規模なのもちょうどいいよね。
移住を考えている人へ
―――泰阜に移住して大変なことはありましたか?
あかりさん:私は特にないけれど、他の人たちを見ていて大変だろうなと思うのは交通手段。どうしても車は必須だから、運転が難しくなったお年寄りはもちろん、子どもも親がいないと動けず、子どもの行動範囲は親によってかなり制限されてしまうし、子育て中の人たちも送迎で大変そう。
街中で育ち、親が共働きで忙しくても自分一人でいろいろな場所に行っていた自分からすると、子育て中の移住を考えるとしたらネックになりそう。
送迎ができるなら、その時間も大切な親子の時間になって良いとも思う。
―――地域の活動は大変ではないですか?
あかりさん:泰阜村でも、地区の常会や道路愛護やお祭りなどの活動にはなるべく参加してくださいということはあるけれど、みんながそれぞれの状況を踏まえてできる範囲で協力してやるという感じ。自分の住む地域のことを自分事として考えて関わるための大切な活動だと思うし、みんなで集まって色々するのは楽しい。そういうのが苦手な人は大変かもしれないけれど。
―――最後に、移住を考えている人に伝えたいことはありますか?
あかりさん:泰阜村は人が育つのに、とても魅力的な村だと思います。(詳しくはHP「子ども・子育て」)
泰阜村に興味を持たれた方は、ぜひ一度来てみてください。
実際に来て、村の人たちと関わったり、話を聞いてみたりすると良いと思います。どこへの移住もそうですが、それぞれの地域によって特色や雰囲気が全然違うので、実際に行ってみて「ここが自分に合うな」と思うところに行くのが移住に失敗しないコツだと思います。
泰阜村は、自然の中でひっそり暮らしたい人にはちょっと向かないかも。
人との交流を楽しみたい人や、自然と共に暮らしたい人にオススメです。
地区の集まりや行事、作業、飲み会などがたくさんあるので!
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「外から来た者」としての視点も持つあかりさんだからこそ見つけられた、課題も魅力も話して頂きました。
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