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富士フィルム X-T5とGIZMON UtuLenzの使用感 ~フィルムシミュレーションで彩るエモーショナルな世界~
今回は、知人の富士フィルム X-T5とGIZMON UtuLenzの組み合わせしたお話しです。
富士フィルム X-T5は、4020万画素の高解像度センサーを持つAPS-Cミラーレスカメラです。フィルムシミュレーション機能により独自の色再現が可能で、特に色表現や階調の豊かさがフィルム写真のような温かみを持ち、プロやアマチュア問わず愛用されています。X-T5は、直感的な操作が可能なクラシカルなデザインが特徴で、Xシリーズの中でも高性能なモデルです。
一方、GIZMON UtuLenzは、皆様ご存知、あの「写ルンです」のプラスチックレンズ性能をそのまま再利用したコンパクトなレンズで、X-T5のAPS-Cセンサーと組み合わせた場合、約48mm相当の焦点距離となります。絞り値がF16に固定されているため、主にパンフォーカスによるスナップ撮影で深い被写界深度が得られ、エモーショナルな描写が特徴です。このレンズは、極めてシンプルな構造とコンパクトさにあり、軽量な点が魅力です。
ここで簡単に「写ルンです」と「GIZMON UtuLenz」を確認しましょう。
「写ルンです」仕様
フィルム:135フィルム ISO400
レンズ:32mm F10 プラスチックレンズ1枚
SS:1/140
フォーカスレンジ:1m~無限遠
ファインダー:逆ガリレオ式プラスチックファインダー
フラッシュ:パイロットランプ付スライド式フラッシュスイッチ
(有効撮影範囲1mー3m)
電池:単4形1.5vアルカリマンガン乾電池内蔵
寸法:W108.0×H54.0×D34.0mm
重量:90g
※写ルンですの第一世代は1986年7月
1世代:スーパーHR100ポケット24枚撮り
2世代:スーパーHR400 24枚撮り
3世代:スーパーHG400 24枚
4世代: ?
5世代:SUPER G 800&スーパーG Ace400
※1996年写ルンですBlack&White ネオパン400PRESTO(欲しいです)
6世代:next ズームマスター800&ネクシアH400&ISO1000
※1997年写ルンですスーパースリムセピア nexiaセピア
7世代(現行品シンプルエース):ISO400
(フィルム仕様世代はWikipedia調べ)
GIZMON UtuLens(ギズモン 写レンズ)仕様
単焦点:32mm(35mm換算)APS -C :48mm M4/3 :64mm 1inch:86mm
絞り:F16固定
フォーカスレンジ:1m~無限遠
寸法:H60mm×D15mm
重量:約46g
今回の組み合わせでは、主に街中でのスナップ撮影を行い、フィルムシミュレーションを活かしてエモーショナルな写真を追求しました。特に、「クラシックネガ」を使うことで、ノスタルジックな雰囲気を表現が出来たらと思いながら撮影してきました。
撮影設定
UtuLenz:APS-Cにて48mm F16固定
X-T5:絞り優先 手ぶれ補正ON レンズアダプター32mm 「クラシックネガ」
スナップ撮影での使用感!目指したのは 「写ルンですデジタル」
街中でのスナップ撮影において、このカメラとレンズの組み合わせは非常に軽快でした。X-T5は持ちやすく、ボタン操作も直感的で、瞬時にフィルムシミュレーションや露出を調整できます。GIZMON UtuLenzのF16固定という点は、明るい日中の撮影には最適で、深い被写界深度を活かしながら、標準単焦点レンズとして街並みを捉えてみました。
「クラシックネガ」を使用した写真では、少し褪せたようなトーンが印象的で、まるで古いフィルム写真を再現したかのようなレトロな色合いが楽しめました。建物や街の風景が、懐かしさを感じさせる柔らかなコントラストで表現され、スナップ撮影でもエモーショナルな一枚が撮れました。
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撮影結果の私観
• 4020万画素センサーによる圧倒的なディテール再現や細部までクリアに 表現できるかと期待しましたが、当然ながらパキパキ感はありません。
• フィルムシミュレーションの豊富な選択肢で、さまざまな写真スタイルに簡単に対応可能。クラシカルな色合いや映画的な表現が魅力ではあるので、当時の写ルンですを知っている私としては「こんな感じ」と思います。
• X-T5とGIZMON UtuLenzの組み合わせはコンパクトで、持ち運びやすく、長時間の撮影でも疲れにくいです。
• パンフォーカスで風景やスナップ撮影においては、ノーファインダーで撮影できるが、昼間の明るい時間に撮影することに適しています。
• 当然ですが、F16固定の絞りのため、暗所や夜間撮影には不向きで、シャッタースピードをかなり低くするか、ISO感度を上げる必要があります。
(それが写ルンですの原理ですが)
• ボケ味を出す表現には適しておらず、ポートレートや近距離撮影では限界があります。
使用事例の共有
今回は天候に恵まれず、雨天の晴れ間での撮影だったのですが、
例えば、夕方の柔らかい光が差し込む街角で、「クラシックネガ」を使い、古い商店街を撮影した際、まるで過去の記憶を切り取ったかのような雰囲気で撮影できたり、建物の陰影が少し褪せたトーンで描写され、風に揺れる
のれんの質感も表現することが出来たかなとも感じました。
また、晴れた日中に広場で子供たちを撮影するシーンなら、「エテルナシネマ」で柔らかな色合いが印象的な一枚が撮れたらいいかなと思います。背景の建物や木々も全体的に柔らかな感じで仕上がるだろうと感じています。
撮影を終えて
富士フィルム X-T5とGIZMON UtuLenzの組み合わせは、特にスナップ撮影でその魅力を発揮します。フィルムシミュレーションを活用することで、ノスタルジックで感情豊かな写真表現が簡単に楽しめます。
特に「クラシックネガ」や「エテルナシネマ」で得られる映画的なトーンは、当時の「写ルンです」とは別に、デジタル特有の独自の表現が魅力になるでしょう。
一方で、F16固定の絞り値とプラスチックレンズ1枚いう特性が、暗所での撮影やボケを強調した表現には不向きなため、そういったシーンには最新のXマウントレンズとの組み合わせが最適です。しかし、持ち運びがしやすく、操作性も非常に良いため、普段使いのお散歩スナップカメラとしては非常に優れた選択肢です。
この組み合わせは、クラシックな色合いで写真を楽しみたいフォトグラファーにおすすめです。特にフィルムシミュレーションを活かして、感情豊かな写真を撮りたい人にとって、強力なツールとなることでしょう。
そして、何と言っても今のデジタルカメラにはなかなか表現出来ない「エモい感」が「写ルンです」を今でも製造してくれる富士フィルムさんの狙いなのかも知れません。